「それじゃあ、文を金吾によろしくお願いします」
彼はぺこりと頭を下げると、くるり振り返り去っていく。 この時代は素直な子がたくさんいて、居心地がいいなあと心がほっこりした。
… … …
「よし、外掃くのも終わったし、この手紙を金吾に届けに行かないと……」
こっそり渡すように頼まれたから、なるべく金吾がひとりの時に渡した方がいいんだよな。 一応金吾の部屋に行ってみると誰もおらず、どこに行ったのかなー、探し回れば彼は井戸近くの庭で素振りをやっていた。
「にひゃくよん、にひゃくご、」 「皆本金吾くーん」 「にひゃくなな……、あっハルさん!」
木刀を下ろした汗だらけの金吾に近付く。ごめんせっかくカウントしてたのに邪魔して。
「構いませんよ、ぼくに何か用事ですか?」 「うん。あのね、いぶ鬼くんって子から文を預かってきたよ」
はいどうぞ。 差し出すとすぐに開いて中身を確認する。読み終えると、残念だなーと金吾は肩を落とした。
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