「どうして君と喜八郎がここにいるの?」
「ここって……」
「四年長屋だよ、一番日当たりのいい」


自分の意志でここに来た訳ではない旨を伝えると、また喜八郎が自由行動しちゃったんだねと眉をハの字にさせて笑う斉藤は、ところで、といきなり話を変えてきた。


「ハルちゃんって、すごく綺麗な髪をしているけど、どんな手入れをしてるのかな」
「は? 髪ですか? えーっと、普通にシャンプーとトリートメントを……」


しまった。横文字なんかわかる訳ないか。
しかし、どう言い直したらいいのか分かりかねていると、斉藤はやっぱり! と顔を綻ばせた。あ、通じるのねトリートメント。


「艶もコシも申し分ないね。しっかり栄養が取れてないとこんなに綺麗な髪にはならないよ」
「あ、ありがとうございます」
「これで立花くん位の長さがあれば、サラストランキング1位は余裕だね〜」
「はあ」


はあ、としか言いようがないだろう。
何でこんなにも髪の毛に執着するんだろうかと疑問に思っていると、斉藤は漸く話しだした。
聞くに彼は、代々続く髪結いの家業を置いて(今の美容師みたいなものか)忍術学園に転入してきたらしい。
なるほど、ここにも外から忍者になるべく頑張る元一般人がいたのか。




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