モンハンパロ 意味不明

刀剣は、硝子が割れるかのような音を奏で肉を切り裂く。へらりと緩めた口元は余裕を醸し出しており、それがまた俺の恐怖心を煽る。断末魔のような鳴き声をあげる雷浪獣はお得意の雷をも使う暇さえ与えられない、つい先程まであった頭の立派な角は破損されている。

切り裂くたびに吹き出す血液を器用に避けてリズム良く切ってゆく、その何とも言えない目の前の光景に息を呑む。尻餅を着いたその腰を上げることが出来ずにいた。


それから雷浪獣が倒れるまで数分の事だった。

「危ないなぁ 僕がおらんかったらどないなってたと思う? 死んでたよ」

倒れた雷浪獣をそのままに奴は尻餅を着いたままの俺に手を差し伸べながら、口を開いた。ごもっともなその言葉に手を掴むことも出来ず目線を地面へと落とし唇を噛み締める。本当にこれが一人だったなら間違いなく自分はあの世行きだった。考えれば考えるほどぞっとして、身体は硬直する。冷や汗が背中を今更流れ落ちる。死ぬところだったんだ、役にも立たなかった見かけだけの武器も腰に納められたままで。奴、ナトがいなければ俺はもう、

「暫く、狩りは止めとき」

「え、」

「それが無理なら誰かに付いてきて貰い」

「……」

「言わんでも、分かるやろ?」

無駄な犠牲は出したくないんよ、とナトはそれだけ言うと俺の腕を掴んで立たせて歩きだす。されるがままに俺は奴に引かれる。言わなくても分かる、今の俺はどうみても足手まとい。なんでこんなことになったのか、それも分からない。只、悔しさが心を埋め尽くしていた。

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