親友

彼は無口だ。
無口と言っても話掛ければ返答はキチンとしてくれるし、喋る時はキチンと喋る
彼からのたまにでる言葉と言えば肉。ほとんどそれ関係だった最初出会った頃は不思議な人だなぁと思った

「ねぇアイク」

食堂でいつものように隣でお肉を頬張っているアイクがこちらを見つめた

「キミがいつも何考えているのか、僕には分からないよ」

つんとパンパンになった頬袋をつつくと、困ったように笑う。アイクは噛むのを止めジ…ッとマルスを見つめた
しばらく見つめたあと、モグモグと止まっていた口を動かしごくんと飲み込む

「…急になんだ?」

「意味はないよ、けど、本当に分からないんだ。」

「人が何考えているかなんて分かる人はいないだろ」

「そりゃあそうだけど」

またこんもり盛ったお皿からお肉を掴み口に頬張る
もっと落ち着いて食べれば良いのに。
マルスはアイクの食べている姿を見て、少し考えながらズルズルとテーブルに伏せる、

「…アイク」

「ん」

「ボクはキミと親友になりたいんだ」

ごくん。


「もうなってる」


マルスは少し黙った後、カバッと起き上がりアイクを丸い目で見つめる アイクは皿に盛った最後のお肉を口に入れた
いたって無表情のアイクにマルスの顔は真っ赤だった

「キッ…キミそういうところあるよね…」

「分からないなら、教えれば良いだけの事だ。知りたいのか…?」

「え…っ」

「俺のこと」

マルスを見て口に食べカスをつけたアイクが言う
その様子にプッと吹き出したマルスは笑って答えた

「うん…!」

マルスにつられアイクが黙って微笑むと食器を片しに立ち上がる。


後にしつこいくらいマルスに「肉が食べたい」「今お腹空いてる」「トイレ行きたい」「肉食いたい」「肉って気分だ」と報告するアイクを マルスはまだ知らない



終わり。


――――――――――――――――
「(本当に脳内お肉なんだなぁ)」


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