胸に刺さる時

私の倒れてる隣で冷たい目で見下ろす彼に私は脱力感しか湧かない

何がしたい

そう問いただしてみるものの返事はない、本当に私をどうしたいんだ彼は
今日は良い天気だった鳥も鳴いて、そよ風が身体を撫でるようにかけて行く
何年も生きていてこれだけは最高に気持ちが良い事だと思う
仲間が歳老いて先に逝く時も自分が何回も死にかけても、変わらず吹くその風はまるで…

「"自分のようだ"って?あんたが風?笑わせるな、もしもあんたがそんなんだったら外にでないな気持ち悪い」
「君はエスパーかい?全く酷いなぁ」

いくら絞められようが刺されようが殴られようが死ねない、何度も何度も苦痛を味わったが死なない
何度も何度も息を引き返す どうして私が、と考えた事はあったけどもう面倒くさくなった

「俺はあんたが面白い、どうやったらお前は死ぬんだろうな、楽しみだ」

ニヤリと怪しく笑う彼は無邪気さが少し感じられた、そんな無邪気さ見せたって 出会い頭に心臓に槍を刺した事は許さないからな
するとグイッと私に刺さった槍を更に押し込み地面に突き刺す
苦痛の声を少し漏らすがあまり気にしてないようだ 大分痛いがなんだか慣れてきたせいか最初の頃より痛くない
もしかして最終的には痛みとか感じなくなるのか
身震いをした

「どうした、」
「…早く」

殺すなら殺して欲しい
そう願う、最後がそんな結末なら、死よりも恐ろしい
最後の言葉は何故か声にはならなかった、だが見下ろしてる男は何を思ったのかしゃがみ良く聞こえる距離まで近付く

「あんたを殺すのは俺だ、この先、長かろうが短かろうか最終的には俺が殺す」


言っている事は恐ろしいかもしれないが私にとっては救いの言葉だった
好きな人が死んだ悲しみや苦痛も苦しみも
仲間と笑いあった一時や楽しみも幸せも
もう充分すぎるほど受け取り、それは私にとっての重荷になった

早く

早く

そしてニコリと笑う私に何故か彼は悲しそうな、面白くなさそうな表情を見せた
私はこんな彼の表情を見たことはあっただろうか
確か前にも

気付いたら、彼と唇を重ねていた
呆気にとられた私はしばらく彼の顔を見つめる

「あんたなんか大嫌いだ」

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人間の気持ちに気付かない不死身


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