最近、ゼロを見ているとイライラしている自分に気付いた。なーんか彼奴見てっとイライラしてしょーがねぇんだよな。
昨日もそうだ。
テストが返された時に、出来が良かったと隊長に頭を撫でられてんの見てイラッとした。俺がバカだからとか赤点取ったからとか、別にそんなんじゃねぇんだよな。良く分かんねーけど何か腹立つ。
「ナイン、最近何か苛々し過ぎなんじゃない?」
「っせーよ!」
他にもまだまだたくさんある。
トンベリを口実に隊長に近付き、あの笑顔を向けてんの見てっとイライラする。
エースと墓地で一緒に唄ってんの見てっとイライラする。
トレイと見てるだけで熱が出そうな分厚い本の話してっとイライラする。
エイトと二人でリフレに行ってんの見てっとイライラする。
ジャックと無邪気にじゃれ合ってんの見てっとイライラする。
キングの隣りは静かで落ち着くからって、隣りで課題やって時折頭撫でられてんのがイライラする。
マキナとチョコボ牧場でチョコボについて語ってんの見てっとイライラする。
「ねーねー、あたし何か悪いことでもしたー?」
「知らねーよ!してねーよ!」
「じゃあ何で苛々してるの?」
俺の棘々しい視線がゼロはよっぽど気になったのか、しつこいくらいに理由を尋ねてくる。適当にあしらっても、ねーねーと諦める様子も無く尋ねてくる。
そんなゼロに遂に俺は声を荒げて言い放った。
「うっせぇよ!お前、隊長に頭撫でられて喜んでんじゃねーよ!笑顔は俺にだけ向けとけコラァ!エースと墓地で一緒に唄ってんじゃねー!トレイと難しい話してんじゃねー!俺様とリフレに行きやがれ!俺様とじゃれやがれ!俺様の隣りで課題をしやがれ!俺はチョコボに負けねーくらいの髪型してんだぞコラァ!」
思いの丈を洗いざらい吐き出した後でハッとした。何か視線が痛い。教室の真ん中に居る所為なのか、四方からの視線が俺に向けられているのが分かる。
目の前のゼロは勿論呆気にとられたように口をポカンと開けていたが、急に吹き出して大爆笑し始めた。
「なっ、笑うんじゃねー!」
「だって!だって!ナイン、それって……嫉、妬……あははははっ」
「ち、ちっげーよ!んなもんしてねーよバーカ!」
でもこの胸ん中モヤモヤしてるの、お前が関係してるっぽい……多分。
(ナイン、かわいーねー)(……どさくさに紛れて抱き付くんじゃねー)(またまた背中に手回しちゃってるくせにー)(……うるせー)