裏庭の二つのベンチ。暖かな日差しが差し込むとても気持ちのいい場所だ。
私の日課は、エースとそこでお昼寝をすること。
だけど、今日はエースは実戦演習でいない。
私も付いて行きたかったのだけれど、今回は私の能力は不向きだと判断されて待機命令が出たのだ。
…まあ、待機命令と言っても殆ど演習に行ってるメンバーで成功させてくるから待機というか、もう自由時間が増えたと言ってもいい。

そんなこんなで、エースもいないし、皆もどこかに行っちゃって私はぽつんと1人だけ。
嗚呼、何だかもうどうでもいいや。寝ちゃおうかしら。
1人で寝るのはちょっぴり寂しいけれど、何だかこういうときは寝た方がいい。
だって、寝ればすぐに時間は経つもの。
きっと目覚めれば皆が教室で笑ってるはずだから。

『…おやすみ』

誰に言うわけでもなく、一つ呟いて私は目を閉じた。
揺れるまどろみで愛しい彼の姿を見たような気がする。
彼は笑ってて、幸せそうに私の髪の毛を撫でてた。
…すごく、幸せな夢だ。
だけど、それはずっと続かなかった。
隣にいたエースは私から離れ、暗く冷たい闇に消えた。
『待って』とまだ少し覚醒しきってない意識でそう叫ぶ。
そこで、私は目を開く。少しだけ、頬が濡れた感触。
…泣いてたんだ。
目じりに溜まった涙をそっと撫でたとき、ふと隣に暖かな感触。
すやすやと寝息を立てている愛しい彼。

『…エース…』

ふわりと一つ微笑んで隣で眠るエースに一つ口付けを落とした。


覚めはお姫様のキスで

(…大胆だな)
(っ!?え、あっ、えぇっ!?)

…ケイト辺りがベタな展開だって笑いそうだ。
でも、それでもいい。
だって、こんなに幸せな気持ちで満たされているんだから。

- ナノ -