▲Leading Wire -モブ鍾


※以下の文章には、モブ×鍾会の暴力・強姦描写を含みます。
 苦手な方はどうぞここでおひき返し下さい











 程なくして、頬は熱く火照り仄昏い闇を湛えた瞳がじわりと潤みはじめた。
 嘗てこの身を許した司馬昭のそれとはあまりにも異なった性急な行為に身体ばかりが昂められ思考が置いていかれてしまう。

 物云えぬ獣のように四つ這いに伏され、頭を踏み躙られ散々砂を舐めさせられた口内に男根を捩じ込まれる…この様な醜態を強いられる事は屈辱に耐え難いが
 今更抗った所で傷が増えるだけだ、と、割切り凌辱を受容れる精神に反して身体の芯には情欲の火が灯り始めている。
 そんな己の浅ましさに口唇の端を噛み切り、ぐっと息を詰めて鍾会は口の端を強く圧迫している汚らわしいそれの先端をおずおずと吸い上げた。
 名も所属も知らない、記憶を総浚いしてもあの忌々しい旧式の下で働いていた男の一人、という事までしか思い出せない駒の一つにまさかこのような扱いをされるとは。
 幾度となく繰り返してきたトウ艾との諍いを間近で見ていた者なのだろうか。
 …考えるだけ無駄だ、とすぐに意識を現実に引き戻した。今は只この愚かな意趣返しを早々に終わらせるのみ。
 不本意だがどうすれば雄が悦び吐精するかなど、とうに知り尽くしている。
 口膣を犯すものを両手で包み込み、先端に舌を這わせて隙間から唾液と共に熱い吐息を零した。
「ん……」

 力づくの望まない交わりに、それでも過敏に反応を返す己の身体を恨みながら解放を促すように強く先端を啜り上げると、目の前の長身の肩が嘲笑うように揺れた。
 淫らだ、と嗤いたいのならば好きなだけ蔑めば良い、雄の欲など単純なもので一度放出してしまえば情欲と共に相手に対する執着も霞の如く
消え失せてしまう事をよく知っているからこその行為なのだ。
 もう少しで解放が訪れるというところで、不意に呼吸を邪魔していた口膣の奥の圧迫感が消える。
 そのまま斜め上に向かってゆうるりと引き抜かれた性器を追うように鍾会の赤い舌が絡み付き、下劣なものと己の口唇との隙間を唾液が銀の細い粘糸で繋ぐ様に眉を顰めた。
 達する直前で引き抜かれた意味が理解できず、虚ろな瞳のまま目の前の男を犬のように見上げる鍾会に男が酷薄な笑みを浮かべる。

「よし、そのまま動くなよ」

 噛み殺すような笑いと同時に、勢い良く鍾会の貌に熱い飛沫が降り注いだ。
 饐えた臭いの濁液は頬や額に容赦なく叩きつけられ、弾けて白磁の肌にどろりと絡まる。
「なっ……?!」
 瞳に入った精液が焼け付くような痛みを齎し、咳き込みながら目蓋を押さえ呻く鍾会を満足気な瞳で見下ろすと
男は自分よりも一回り以上華奢な身体を手荒に引き摺り上げ、血と泥に穢れた口唇を自分のそれで塞ぎ舌を捻じ込んできた。

 薄く開いた口内、柔らかい内部を荒らしながら捕らえた兎の頤を牙で噛み砕く瞬間を愉しむかのように男の巨体がゆっくりと腕の中の獲物に覆い被さっていく。
 そして擦り付けるように滾った男根の先で鍾会の細い足首から太腿をなぞりあげ、双丘の合間を掠めて性器を尻の真下に添えた。

「怪我したくなけりゃ力抜いておけよ、小僧」
「っ……貴様、私にこんな事をして只で済むと思うなッ……、ああぁぁぁッぐぅ…ッ」
「思っちゃいねぇよ。無駄口叩く元気があるなら大丈夫だな」

 抗う僅かな時間も与えられずに慣らしていない脚の狭間を肉の凶器に深く侵蝕され、鍾会の両腕が縋るものを探して形振り構わず男の太い首に巻きつく。
 自分を穢し、力づくでの性交を強いている張本人に縋りつき情けなく悲鳴を上げる。そんな自身の姿を思うだけで気が狂いそうになり頭を振り乱し背を弓形に反らせる。
 気遣いの言葉など当然有る筈もなく、突き立てられた剛直は秘奥を深々と抉り、そのままぐちゃぐちゃと淫らに濡れた音をたてて乱暴に抽挿を開始した。
「……っく、……っぐぅ」
 突き上げられる度に噛み殺しきれない声が吐息と共に零れ、ガクガクと揺れる身体を必死に繋ぎとめようとする鍾会を嘲笑うように一際大きく男の腰が揺れた。

 どうせ、これで俺も御仕舞だと自嘲気味に呟く男に苦しい息の中乾いた笑いを浮かべた。
 私があの旧式にこのような茶番を告げるとでも思っているのだろうか。…誰が、あのいけ好かない男に弱味など見せるものか。

 犬のような悲鳴をあげて壊れた傀儡よりも不格好に両脚を突っ張らせ、震える身体の奥深い場所に一方的な欲望が吐き出されるまで――実際にはほんの僅かな時間だったのだろう。
 この程度の事で私は壊されたりしない、と掠れた声で呟く乾きかけた白濁に穢された顔、その閉じた瞳の縁からまた一筋透明な雫が零れ落ちた。

fin


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