▲phantom(2) -覇淮


 恐らく今薄らと開かれた郭淮の目に映っているものは、汗で髪を額に張り付かせ余裕無く彼を窺う己の姿なのだろう。

 俺は余程情けない顔をしていたのだろうか、ぼんやりと薄く開かれた郭淮の瞳が己を捉えた後で慈しむようにすうと細められ、投げ出されていた両腕が己の背に廻り宥めるようにポンポンと叩かれた。
「なんて顔…しているのですか」
 体の深い場所を暴かれ本当ならば息を吐くのも苦しいだろうに、悟られぬよう微笑みながら「大丈夫ですから」と笑う郭淮は汗で滑る背に爪をたてながら掠れた声で鳴き、「もう…来て下さい…」と切なげに瞳を伏せた。

 欲に濡れた瞳で懇願され、耐えられる男が居るのならば是非とも御目にかかりたいものだ。
 本能に急かされる儘に郭淮の両足を忙しなく抱え込み、大きく開かせた狭間から覗く濡れた蕾に猛った自身を宛がい
 はち切れそうに勃起した其れを、秘所が自ら咥え込もうとする動きに耐えきれず性急に挿入した。

 ぐぷりと熱い肉が其処へ呑み込まれていく。
「あぁぁぁあああ!!!!かッ……は、……苦し………ッ」
 幾ら指で慣らしたとはいえこの大きさを受け入れる行為に苦痛が伴わないわけがない。
 優しくしてやりたいとは思いながらも、身体を二つに引き裂かれるような激しい激痛に悶え、指の先まで痺れるような衝撃に耐えながらその全てを齎す男に縋り付いてくる郭淮の身体に
片手で足りる程しかない交接の中すっかり己は溺れきっていた。
 熱い内壁が自身を柔らかく包み込み、軽く突き上げる度に根元をきつく締め付け先端を舐め上げるようにグチャリと音をたてて煽動する。
「郭淮…イイよ、すっげ……お前んナカ半端なくキモチイイ…」
 幾筋も涙の跡が伝う濡れた頬に舌を這わせ、小刻みに腰を揺らせばそれに応えるように郭淮が一際高い嬌声をあげた。
「そういう…ッ、恥ずかしい事をっ……大声で、…言わない……で、 頂きた……ッ ぐぅッ」
 焦点の定まらない、熱に浮かされた瞳で睨みつけられても最早興奮を煽られるだけでしかない。
 激しく打ち付ける腰に翻弄されながらも体内で更に大きさを増した己の欲に気付いたのか、郭淮は真っ赤な顔で狼狽え圧し掛かる身体を押し返すように力を籠めた。
「……これ以上は、無理…です…ぁ、夏侯覇殿……」
「俺もっ…限界、一緒にいこうぜ郭淮」
 体内で膨らんだ己を強く締め付けながら快感で潤んだ瞳を揺らす郭淮を強く抱き締め、愛しいという衝動に駆られる儘我武者羅に腰を叩き付けた。


 何度も繰り返し奥を抉られ、力任せに突き上げられて郭淮は間もなく繋がれた腰を大きく震わせ吐精した。と、同時に己も彼の最奥に白濁を放ちぐたりと脱力する。
 熱く泥濘む下肢に身を震わせながら組み敷いた彼を見下ろすと、放心したような顔で己の胸に額をあて、少し疲れましたと弱々しく笑って見せた。



中途半端なままfin

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