ANSWER(13)


 ”人の心の中を勝手に土足で踏み荒らすな”

 ”付き纏うな、放っておけ、お前の顔など見たくもない。”

 追いかければ追いかけた分だけ、背を向けて逃げるように遠ざかる愛しい人。

 追いかけても、追いかけても 距離は依然として縮まらず。



 月に恋した太陽の気持ちが、少しばかり分かるような気もする。 

 これは、流石に つらいな。


 ANSWER      4 / NEON MOON


 眼下に広がる暗闇の中、派手にぶち撒けられた宝石のようなネオンライトの海にスゥッと
翡翠色の瞳を顰めた。

 
 繁華街の中心地、少ない土地を有効利用する為に街中の至る所にに林立する高層ビルの屋上の縁から地上を見下ろせば不夜城の喩えをそのままに、もうすぐ日付が変わろうとしている今も道路には沢山の車が行き交い、ビルの谷間には横に、縦にとせり出し密集した看板が
絡み合い、色とりどりの光の渦を煌々と作り出している。
 金に対する執着心、そして生き残る為の経済的競争力に関してはアジアでも指折りの都市に相応しく、周囲が闇に包まれても自らが作り出した光の渦の下で決して休むことなく動き続けているパワーには圧倒されるものがある。


「…まさかこんな目立つ場所とはねェ」
 ビルの下から吹き上げてくる強い風が蜂蜜色の金髪を持ち上げ、一頻り遊ばせては上空に吹き抜けていく。
 身体に羽織った闇色のジャケットが風に煽られて膨らみ、音をたててバサバサとはためいている様はまるで大きな翼を持つ鴉のようだ。
 強風に煽られながら一歩踏み外せば転落するような縁で、器用にバランスをとり何かを計るようにじっと一点を見つめていた男が、一つ息をつき、再びネオンの海をさめた瞳で見渡す。
 100万ドルの夜景と名高いこの街の景観。
 この輝きの何処かに、光の洪水の中に、自分が恋焦がれて止まない人が居る。
「俺が行くまで勝手に死んだりなんかするンじゃねぇぞ」
 風の中で踊る炎のようにはためく真っ赤なバンダナを手馴れた手つきで頭に結ぶ。

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