ANSWER(12)


 本部に待機中の部下に手回しを依頼し、中国だけでなく世界中の至る所に蜘蛛の巣の如く情報網を張り巡らせているチャイニーズマフィアのつながりを漸くほぼ把握できたのがつい先刻のことだった。

 相手にこちらの場所が知れている以上、悪戯に余計な情報を与えてはいけないと態々船から離れじっと街に潜み、折角掴んだ情報を携えて2日ぶりに船に帰ってみれば火が消えたような静けさに迎えられ、流石にガクリと肩を落とした。
 半ばこうなることの予想もしていたが、それにしても隊長である自分を置いて全員が勝手な行動に出るとは、許しがたいものでもある。
 全員減給、と口の中でぶつぶつ呟きながら自室の扉をあけると、意外にも2人の姿がそこにあった。
 窓際に立って何かを待つように外をじっと見つめ続ける大柄なドイツ人と、落ち着きのない様子で立ったり、座ったりを繰り返している小猿のような新入りの姿。
 残る一人の姿は、部屋のどこを見渡しても見つけることは出来なかったけれども。

 まあ、これも予測の範疇かと長い髪をかきあげ、未だこちらに気づかないほど、他の何かに気を取られている部下達の名を大声で呼んだ。
「今帰ったぜぇ、テメェら隊長が帰ってきたってのに、出迎えもねぇのはどういうことだ?G、リキッド!」
「た、隊長今までどこ行ってたんスか、ロッドが昨日からどこ探してもいないんスよ。まさか一人で特攻かけたわけじゃないっスよね。一人じゃいくらなんでも…」
 自分を見るなり、子供のように両腕を振り回しながら縋りついてくるリキッドにもう一度眼魔砲をくらわせて黙らせてやろうかと思い一旦は手を掲げた…が、とりあえず今は速急にやるべきことがある。
 そのまま掌を下に向け、リキッドの頭をポンポンと叩きニィ、と笑みを浮かべて片手に持った封筒をバサリとデスクの上に放り出した。

「ほっとけ、大方ションベンだろ。さて、ンなことよりお前らにはやって貰いてぇ仕事があるんだ。…しくじるんじゃねぇぞ」

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