雛(ロドマカ+特戦)2


 100の訓練よりも1の実戦。
 一つ判断を誤れば命を落とす緊張の中で、戦場で生き残る為の術を学んでいく特戦部隊のやり方は確かに他の部隊から見れば異常にも映るだろう。
 しかし、素人だから、新兵だからという理由で死を免れる程現実は甘くはない。
 生き残る為には強くならなくてはならない。
 そして、己に対する一片の甘さも許されないこの環境でならば、それが出来ることを自分達は知っている。


『俺にだけ全部任務押し付けて、あんたらサボッてるなんていい気なもんだよな!』
 少年の幼さの残る頬をプクリと膨らませて怒鳴った顔を思い出し、笑いながら手入れの済んだ銃をGに投げて寄越す。

「しっかし、坊やが来てくれてからは任務中に居眠り出来るもんなぁ、ホンッと隊長様様だぜ」
 獅子舞もたまにゃいいもん拾ってくるじゃん、と軽口を叩いて大きく伸びをする。
 大欠伸をしたせいで、涙が滲んだ目を擦ると隣に座っていたマーカーもどうやら報告書の作成が終わったらしい。ゴキゴキと首を鳴らしてこちらを横目で窺った。
「今日の任務中に、ボーヤの周りにだけ妙な風が随分と頻繁に吹いたな」
 全てを知っていながら、わざと嫌味な笑みを浮かべるマーカーに瞳を細めて唇を尖らせた。
「…・ンだよ」
「いや、まあいいだろう。…あの風が無ければ今頃は狙撃された哀れなボーヤの葬式の準備で忙しかった筈だ」
 Gまでもが口の端に笑みを浮かべている。
 これは、少しばかり悔しい。
「お互い様だろ?テメェらも」
 フン、と鼻で笑いマーカーの前に指を二本突き出してみせ、そのまま更に指の数を二本増やしてGの前で止める。
 最後に自分の方に掌を返して全部の指を広げ、ニィッと笑みを浮かべて2人の顔を見遣る。
「葬式、計九回だ。こりゃ花代だけでも随分と痛い出費だな」

- 82 -


[*前] | [次#]
ページ:




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -