▲罰ゲーム(2)


 ・・・見なければよかった。
 一瞬信じられないものに瞳をまるくした後で神様・・・と天を仰ぐ。
 そして彼のもっているたちの悪い収集癖を思い出し、ガックリと項垂れた。
「おーおー。そんなに大袈裟に喜んでもらえっと、俺も嬉しいぜリッちゃん」
 傍らにその姿を露出した、三角木馬をポンポンと片手で叩きながら笑みを向ける獅子舞の顔をまともに見ることすら苦痛だ。
 戦場に出向いても敵兵は全て塵に変えてしまい、捕虜などつれかえってきた例がないくせにどうしてこのオヤジは世界各国の拷問器具をコレクションしたがるのだろうか。
 幾らマーカーに「邪魔です」と叱られようが、気が付けば飛行艇の中に増えているそれらに一体どこで買い求めているのか、不思議に思える程だ。
 そして当然、そんなものを収集する趣味のない自分にとっては無用の長物である。


「隊長、お気持ちはその、嬉しいんスけど俺・・・・いらねっす」
「ンだよ、気にいらねぇのか?しょうがねぇな、タイヤとエンジンつけてオメーの好きなバイクに改造してやろうか?」
「・・・・ンなケツ痛そうなバイクに乗ったら尻が更に割れます」
 下を向いたままもう許してくれ、と力なく手を振る己に獅子舞が口唇を尖らせる。
「遠慮すんな、オラこっち来てよく見てみろ。ホラ、ココんところが今までオメーに試した三角木馬とわけが違うんだぜ?」
 見たくない。が、ここで拒み三角木馬どころでなく鉄の処女に叩きこまれたり、焼けた靴を履かされ踊らされるのはもっと御免だと渋々彼の傍らに近寄り、再び腰から下の力がガクリと抜けた。
 確かに、シルエットは今まで見たこともないえげつないものだということは認めよう。
 木馬の鋭角に尖った部分から真上に突き出されている男性器を模した張り型は一目で何につかうものか理解できる。
 ――コレ、は拷問用ではなく、悪趣味な大人の玩具であることぐらい年若い自分にも。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 言葉が出ない己を満足そうにニヤニヤと眺めていた獅子舞に、後ろから強く身体を抱きとめられ無防備になっていた耳に熱い息を吹きかけられた。
「やっ・・・嫌ですって、絶対嫌です・・・ッ」
 身を捩って逃れようとするが一度押さえつけられた身体は幾ら暴れても拘束が緩まる気配すらない。悲鳴をあげ、手足を出鱈目にばたつかせ逃れようと足掻く己を嘲笑うように、上司は纏った着衣を引き裂くように剥ぎ取っていった。
 引き千切られるように全裸にされた身体を彼の目から隠すように足元で蹲る。普段から自分勝手な男だが、今日は普段以上に暴君ぶりを見せつけられ、悔しさに口唇を血が滲む程噛みしめる。
「隊長なんか大嫌いっす」
 恨み言のように呟いた言葉にも、「俺はリッちゃんが大好きだぜ」と明るく返され閉口してしまう。
 しかし呆れてばかりもいられず、蹲った己を抱き上げるように廻された獅子舞の腕から逃れようと無駄と分かっていながら抵抗を繰り返すが・・・
「うわぁぁぁあ・・・ッ、痛、いてぇっすよ隊長、む・・・無理ぃ・・・・ッ」
 強引に脚を割られ、椅子に座らされるように股を木馬の鋭角部分に押し当てられそのまま後ろにある備付けのディルドの上に再び尻を持ち上げられてしまった。
 何の慣らしもしていない秘部が乾いたそれの侵入を拒み、強引に押し付けられても引き攣れる痛みだけが下肢を苛みそのあまりの激痛に見開いた瞳から涙が零れ落ちた。
 潤滑油も何も無い状況で呑み込める筈などない。それでも強引に捩じ込もうとする獅子舞に絶叫に近い悲鳴をあげ、それが二、三度繰り返される頃にはすっかり痛みと身体に受けたダメージで木馬の上に胸を密着させるように身体を倒し、ハァハァと荒い息をつくことしか出来なくなって
しまった。
「・・・チッ、だらしねぇなリキッド。オメー俺のを何度もケツに入れてんだから、このぐらいの太さのものぐらいすんなり銜えてみせろや」
「無茶言わないで下さいよ・・・・ンッ・・・も、駄目です、勘弁してください・・・」
 息も絶え絶えに呟いた掠れた声に、獅子舞は呆れたように己を見下ろしそして傍らの机の上にあった蒸留酒の瓶を片手で引き寄せた。
「濡らしゃ、入るだろう」
 その言葉と同時に秘部に焼け付くような痛みと熱を感じた。
 ドボドボと注がれる琥珀色の強いアルコールが其処を濡らし、尻の間を伝い投げ出したままの両足を伝って床に零れ落ちる。
「ひぃッ・・気持ち悪・・・、隊長、やめて・・・・くださ・・・」
 残り全てを直接流し込むように、瓶の口で秘部を塞がれ体内に直に流れ込む熱い刺激に身を捩らせて涙を零した。ひりひりと痛むそこから瓶が抜かれたと思うと、かわりに吸い付くようなやわらかい感触を感じそれが隊長の口唇であることを理解した瞬間、目の前が全て赤く染まる
ような強烈な羞恥に慄いた。

「へ、変なところ触んないで下さいって・・・ッ、や、隊長・・・恥ずかし・・・ッ、も、嫌だ・・・」
 己の尻に顔を埋め、秘部から零れ出た酒をペロペロと動物のように舐めとっている彼に我慢が出来ず涙声のまま静止を訴える。



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