STAY TUNED ヲルヘン(2)


『それではタウンゼントさん、本日はありがとうございました。採用につきましては後日また。初日の仕事に備えて体調を整えておいて下さいね。』
(…なんだその当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせて頂きます的な採用通知は…いや、やはり悪質な悪戯なのだろうこれは。もう帰って寝よう…疲れた)
 小一時間にわたる面接ですっかり精も根も尽き果てた私はぺこりと頭を下げ、肩を落とした儘会議室を後にした。
 乗り込んだエレベーターの壁にぐったりと凭れかかり、深夜でも煌々とライトアップされているビルの壁側面に飾られた企業名…KONAMIの文字に溜息を吐きやはり自分の身の丈にあった職場を探そう、と明日からまた始まる就職活動に深く頭を垂れる私には自分が去った後の会議室でどんな遣り取りが交わされているかなど知る由もなかった。




『…どうですか、今の彼はいかがでしょう』
「申し分無い、私の方は契約成立とさせて貰おうMr.Yamaoka。ここにサインで構わないかな?」
『ええ、どうぞ宜しくお願いしますサリバンさん。報酬は契約書通りですがくれぐれも、…全ての仕事が終わる前に彼を壊さないようお願い致します』
「…善処する」
 先程までの面接の一部始終を隣室で見物していた長身の男が、面接を担当していた男とテーブルを挟んで向い合い最終契約のサインをしながら後ろで一纏めに括った金髪を指先で弄り含みのある笑顔を向けた。
『おや珍しい、今日のあなたは機嫌がよさそうです』

「ああ…今度の仕事は随分と楽しめそうだ…」


end

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