▲咎 獣×ヘン(2)


「ひっ…痛い、やめ、もうやめてくれ……ッッ」
 足元で繰り広げられるスニファードッグとヒトとの交尾をぼんやりと見詰めていると、それまで気絶しているものだと思っていたヘンリーの口唇から微かにすすり泣くような声がきこえた。
 人の言葉を理解しない畜生相手に哀願するなどバカげている。
 哀願しながら、力の入らない両手を必死で股間に伸ばして、己の下肢に突き挿さっている肉の凶器を引き摺りだそうとしている様子が見て取れるがこれも無駄な抗いだ。
「はぁ・・・はぁ、あっ……!や、だめだ、もう無理だ…」
 従順に精を受け入れようとしない「雌」に苛立ったスニファードッグがヘンリーの後孔をより深く抉り罰を与える。
 衝撃に耐えきれずヘンリーはそのまま顔から地面に崩れ落ちて、激しさを増した犬の突き上げにビクンビクンと背を震わせた。


 さて、そろそろか、と私は彼の正面に見物場所を移動する。
 熱にうかされた子供のように、ダメだ、とイヤダ、ばかりを繰り返すヘンリーの顎を汚れた靴のつま先で掬いあげ、今目の前にいる私が誰なのかを朦朧としている彼に理解させるため、グッと持ち上げた。
「ごきげんようヘンリー。随分といい格好じゃないか」
 この言葉は嘘ではない。
 涙と泥と血にまみれた顔は背がぞくりと震えるぐらいに、これまで見たことがない位に魅力的だった。
「あ……ウォ、ル…ター、……あっ、あーー、ッ!」
 私の姿を認識した彼の目が恐怖と絶望に見開かれる。
 当然だろう、今まで何度も殺されかけた相手がこんな状態で現れるなんて絶体絶命もいいところだ。
 しかし逃げようにも獣の慰み物にされている今の状態では腰が抜けて満足にたちあがれもしないのだろう。
 悲鳴をあげただけで彼は再びぐたり、と糸が切れた操り人形のようにその場に崩れ落ちてしまった。
「おやおやヘンリー・タウンゼント。私から逃げなくても良いのか?」
 懐に入れておいた銃を指先で探り道化のような仕草でおどけてみせると、ヘンリーは涙に濡れた瞳をあげてもう一度這い蹲りながら私の前から、そして獣達の蹂躙から逃げようと悪足掻きを試みはじめた。
 また、ぞくりと背がふるえる。
 丁度彼の中を占領していた獣が精を吐き出し終えたらしく、真っ赤に充血した後孔からずるりと醜悪なペニスが引き抜かれていく。
 血の赤と精の白が混じり合い酷く無様で淫らな光景だった。
 終わりの見えない凌辱によって僅かに口をあけたままになっているヘンリーのアヌスがひくひくと震えているのがまるで次の雄を誘っているようにみえて失笑してしまう。
 案の定、群れの中から立派な体躯の一匹の若い雄が進み出てきてヘンリーのソコを長い舌でべろりと舐めた。


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