お泊まり会2
「「「じゃぁ〜〜〜ん!!」」」
三人同時に登場してみれば、三人共、何やら可愛らしいエプロンをしていた。
「「・・・!!!」」
「わ〜、可愛いね〜」
驚いたのはヴィンセントとアーヴァイン。
呑気な感想を言ったのはビビ。
まぁ、ヴィンセントとアーヴァインが驚くのも無理はないだろう。好きな人のエプロン姿などそうそうにお目にかかれる訳ではないからだ。これは二人にとっては目の保養になるだろう。聞こえてくる鼻歌。
軽快な野菜を切る音。
ヒラヒラ舞うエプロン。
もう、天国だった。
「出来上がるから
用意するの手伝って〜!」
ユフィが言い放つと、ビビは普通にとことこ歩き出したが、ヴィンセントとアーヴァインは浮くように歩いた。
「ビビ、これ運ぶの手伝って」
「うん」
リュックはビビに頼んで運搬を手伝ってもらった。その時―――
「ちょっ、アービン!」
「ヴィンセント〜!」
セルフィとユフィの困ったような声がした。振り返って見れば、ヴィンセントとアーヴァインはじゃれついていた。
「・・・このようにしてだな」
「ヴィンセント・・・耳、くすぐったい・・・」
「アービン!意地悪しないでよ〜!」
「ど〜しよっかな〜?」
二人がどのようなことをしてじゃれついていたかは想像にお任せします。
リュックとビビはしゃがんで小声で話し合った。
「あんなに接近してるのにどうして気がつかないんだろうね?」
「どっちも“遊び”だと思ってんだよ」
ビビの言うことには一理あった。
至福のひと時である夕飯が終わり、トランプで遊んでいた面々。すると―――
「そろそろお風呂入ろっか」
ユフィが言いだすと、また、ヴィンセントとアーヴァインはピクッ反応した。
「アタシたちが先に入ってきていーい?」
「いーよ」
答えてあげたのはビビ。
三人娘はきゃあきゃあ話ながらお風呂に入りに行った。ドアが閉まるのを確認して、三人は距離を詰め合った。
「ああ、セフィ、
どんなパジャマを着るんだろ〜?」
「・・・
ノースリーブ系のやつだったりしてな」
「セクシーかも〜!」
「今寒いから暖かそうなやつじゃない?」
「可愛いかも〜!」
もう、興奮せざるを得なかった。
しばらくして、ビビの予想は的中した。
ユフィたちは暖かいパジャマを着ていた。
それぞれの左胸にはアップリケが付いており、ユフィのは猫で、セルフィのは犬で、リュックのは猿だった。
「セフィ〜〜〜!!!」
アーヴァインはセルフィに抱きつこうとしたが、セルフィは上手くかわした。
「出てきたばっかりで暑いから堪忍な」
残念。
ヴィンセントは・・・硬直していた。
・・・ユフィの・・・パジャマ姿・・・。
もはや昇天する勢いだった。
「ビビたちも入ってきなよ〜」
リュックに言われ、ヴィンセントたちも風呂に入ってくることにした。しばらくして、男性陣が風呂から出て、また遊んだ。そんな時、セルフィが―――
「リュック」
「ん?」
「ゴニョゴニョ・・・」
「おっけ〜!!」
何やら作戦のようなことを話していた。
そして・・・
「あ、あれ取りに行かなくちゃ〜!」
「アービン、ビビ、ちょっと一緒に来て」
「「え?」」
顔を向ける二人にセルフィたちは目配せをした。アーヴァインはそれを把握して、ビビを引っ張りながら「いいよ〜」と言ってセルフィたちと共に二階に行った。
・・・・・・リビングにはユフィとヴィンセントの二人だけとなった。
「何取りに行ったんだろうね?」
「・・・さぁ・・・な」
ヴィンセントは判っていた。
皆が、自分とユフィを二人っきりにする為に席を外したのだと・・・。ソファで二人仲良く座るユフィとヴィンセント。
ユフィからは苺のような甘い香りが漂ってて、それがヴィンセントを酔わせる。
「・・・甘い香りがする」
「あ、判った?・・・ヴィンセントたちが風呂に入ってる間に三人で香水かけたんだよ。苺の香りがするでしょ?」
「・・・ああ。中々いい香りだ」
今度は勢いに任せて抱き寄せそうになったが、堪えた。堪えた末、不自然に伸ばされた手。それを誤魔化す為にユフィが飲んでいたお茶のコップを手に取った。
「・・・お、おかわり、いるか?」
「いらない」
「・・・では、片付けておこう」
なんとか
その場の状況を回避したヴィンセント。
「ありがとね〜」
コップを流し台に置いてまたソファに向かう。が・・・
「むっ・・・!!?」
ヴィンセントは足を滑らせてしまい、ユフィの上に倒れた。
「わわっ!!!?」
ドシンと音を立ててソファの上にユフィを押し倒したヴィンセントは慌ててユフィの無事を確かめた。
「・・・すまない。大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ」
所変わってユフィの部屋
「ヴィンセント、上手くいったかな?」
「様子を見に行こう!
アーヴァインも行くよね?」
リュックは尋ねてアーヴァインを振り返ると、アーヴァインはセルフィの寝顔を見ていた。
「僕はセフィの天使のような寝顔を見なきゃいけないから遠慮しとく〜」
多分、テコでも動かないだろう。
リュックはビビと共に部屋を出た。
同時刻――リビング――
「あ、枝毛みっけ」
ヴィンセントはいまだにユフィを押し倒していた。しかし、当のユフィは気にせず、それどころかヴィンセントの枝毛探しをしていた。その時・・・
「ユフィ、帰って来てるのか?」
リビングのドアが開いてなんと
―――ゴドーが現れたのだ。
沈黙する空気。
状況説明
@ヴィンセントは(足が滑ったので)ユフィを押し倒している状態
Aゴドーの慰安旅行は今日で終わりであったから、ゴドーは帰ってきた
Bゴドーのリミット爆!発!
「人の娘に何さらしとんじゃ我えええええええええええええええええええええええええええええええええええっっっっっっ!!!!!!!!!!」
「ご、ゴドー殿!!これは誤解・・・」
「何が誤解じゃあああああああああああ!!!!!!!!!!!!????」
「わーーー!!!待て親父っ!!これは違うんだよ!!」
「何が違うんじゃああああああああああああああああああああ!!!!!???」
尚も大暴れするゴドー。
ちなみに、リュックとビビはその光景の一部始終を見ていた。
「す、
スー○ーサイ○人になってる・・・」
「こ、怖いよ、リュック・・・」
その後、誤解を
解くのに深夜まで掛かったとか・・・。
→おまけ
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