お泊まり会


006号室

「今度の休みどうする〜?」

と、問いかけてくるのはリュック。
彼女はベッドで頬杖をついて足を交互にゆっくりばたつかせる。

「ん〜、探検する気分じゃないな〜」

と、答えるのはセルフィ。彼女は漫画を読みながら探検に行くのを渋った。

「そ〜だな〜」

と、考えこむのはユフィ。
そして、一つの提案を彼女はした。

「あ、ねぇ!アタシの家に泊まらない?」
「「ユフィの家に!?」」

二人ははもってユフィを見た。

「そ!お泊まり会しよ!」
「お泊まり会か・・・。いいね!」
「やろやろ〜!!」

すっかり乗り気の二人。

「三人じゃ寂しいから
誰か他の人も呼ぼう」

おーっ!
とリュックとセルフィは声を上げた。



【お泊まり会】



「という訳で、シェルクと風神はどう?」

と、二人に尋ねるユフィ。
リュックとセルフィは
別の人たちに声を掛けに行っている。

「すいません、お姉ちゃんと買い物に行く約束をしているので」
「・・・我、仕事・・・」

風神はバイトがあるということだった。

「そっかぁ、残念」
「すいません」
「・・・謝罪・・・」
「あー、いーよいーよ。また今度ね!」



「あー、用事あるんかー」

セルフィはイリーナとエーコを誘っていた。だが、二人も用事があるようだ。

「すいません、
レノさんとデートがあるので・・・」
「ヒューヒュー!!」

すかさず茶化すセルフィ。抜け目がない。

「アタシは町内のお手伝いしに行かなきゃいけないの」
「それは残念や〜」

セルフィは
残念そうな顔をして肩を落とした。



「その日はちょっと・・・」

リュックはガーネットを誘っていたが、
ガーネットも都合が悪いようだ。

「もしかしてデート?」
「え、えっと、それは・・・」
「ガーネット、今度のデートさぁ―――」

何も知らずにやって来たジタン。
一方のガーネットはデートということがバレてしまい、顔が真っ赤だった。


昼休み―屋上―

三人は珍しく屋上でお昼ご飯を食べていた。いつもだったら食堂で食べているのだが、今日は屋上の気分のようだ。

「そっちはどうだった〜?」
「ダメ〜」
「こっちもダメだった〜」
「そっか〜、実はこっちも」

三人同時に溜息を吐く。
その時・・・。

「セフィ〜!!」

軽快な声がして、振り向いてみれば、アーヴァインが来た。アーヴァインだけでなく、ヴィンセントと、なんと珍しくビビも来たのだ。

「アービン!どしたん?
ここでお昼ご飯でも食べるん?」

「そうだよ〜!
たまにはいいと思ってね!」

とっても嬉しそうなアーヴァイン。
スッとセルフィの隣に座る。

「ビビも一緒なんで珍しいね」
「・・・たまたま廊下で会ってな」

ヴィンセントも
さりげなくユフィの隣に座る。

「一緒に食べることにしたんだ」

ビビはちょこんとリュックの隣に座る。
この時、リュックはあることを思いついてユフィとセルフィに提案した。

「ねぇ、
この際、ビビたちも誘ってみない〜?」

「アタシは別にええけど、
ユフィはどう?」

「別にいいよ」

「「「?」」」

アーヴァインたちは何のことだか判らないといった表情をした。リュックは立ち上がって演説をする様に大きな声で言った。

「はいは〜い!男性陣にしつも〜ん!
今度の休み、空いてる人〜?」

「僕は暇だよ〜?」

「・・・私もだ」

「僕もだよ」

すると
リュックはニカッと笑って言い放った。

「アタシとユフィとセルフィは今度の休み、ユフィの家でお泊まり会をします!だけど、三人だけじゃ寂しい。ので!君たちもどうだ〜い?」

「賛成!!大賛成!!!」

最初に声を上げて喜んだのはアーヴァイン。まぁ、セルフィもいるからだろう。

「・・・私でいいのなら」

「・・・僕もいい?」

「もっちろん!
ではここで、詳細説明をセルフィにしてもらいま〜す!セルフィ、よろしく〜!」

「はいは〜い!それじゃ、
詳細説明をさせていただきます」

セルフィはコホン、と一つ咳払いをして、説明を始めた。

「えーと、持ってくる物はパジャマと歯磨きセットと次の日に着る普段着。
後は財布と携帯と必要と思われるもの!質問のある人〜?」

「はいっ!」

ここで、アーヴァインが挙手をした。

「はい、アービン!」
「おやつは持ってってもいいですか?」
「勿論!ジュースもあると望ましい」

さりげなくジュースを持ってくることを暗示させるセルフィ。ぬかるみがない。

「他に質問のある人〜?・・・
いないね?じゃ、ユフィから一言!」

「え?アタシ!?」

急に振られたユフィは少しの間、う〜ん、と考え、こんなことを言った。

「え〜と、アタシの家に泊まるんだから、手伝いは勿論、お菓子とジュースをたくさん持ってくること!」

「は〜い!!」と、ユフィを除いた全員は大きな返事をした。ちなみに、ヴィンセントは黙って頷いた。六人はとりあえず、昼ご飯を食べ終えて、屋上をあとにした。


・・・・・・


屋上の外扉の少し横に、梯子があった。
そこの上ではクラウド・スコール・ジタン・ティーダの手作り弁当組が伏せていた。

「なぁ、ジタン」

尋ねるクラウド。

「何だよ?」
「伏せる必要なくね?」
「いや、なんとなく・・・な?」
「いいなぁ〜、お泊まり会。俺もユウナとしたいなぁ〜」
「今度俺たちもするか?」

ティーダのぼやきで、スコールは冗談でお泊まり会を提案したが、後に可決される方向になる。



休みの日。お泊まり会が行われた。各々、荷物を用意して、ユフィの家に向かった。


―道中―

ビビは
ユフィの足をちょんちょん、と突いた。

「ん〜?何〜?」
「よく考えたらさぁ、ユフィ、家にお父さんいるんじゃない?]
「あ〜、大丈夫だよ。親父、慰安旅行に行ってるからさ」
「ふ〜ん」

そんな会話をしているのを他所に、ヴィンセントは半ば放心状態でいた。

それに気がついたリュックは、小さい声でヴィンセントに尋ねた。

「ヴィンセント、嬉しそうだね〜!」
「・・・そんなことは・・・」
「ユフィの家に泊まるのは初めて?」
「・・・」

コクリ

「ひゅーひゅー!!」
「・・・茶化すな」




ウータイ地区

キサラギ邸

ユフィの家は
他の家よりも少し大きかった。

「さ、入って」

ユフィに促されるがままに、一同はキサラギ低へと足を踏み入れた。




リビング

中は比較的に落ち着いていて、
片付いていた。

「さてと、荷物は・・・ソファの陰に置いといて大丈かな?」
「じゃあ、置いていい?」

セルフィが尋ねると、ユフィは「いいよ〜」と言って冷蔵庫を物色し始めた。

「あ〜、あんまないなぁ〜。アタシ、ちょっと買い物に行ってくるね」
「え?後ででいいんやない?」
「午後はめーいっぱい遊びたいからさ」

この時、セルフィとリュックはピーンと、あることを思いつき、数秒で打ち合わせをして、実行に移った。

「アタシたちが
買い物に行ってくるよ〜!」
「え?いいの?」
「遠慮せんていいって!折角泊めてもらうんだやからこの位はしてあげるよ」
「ホラ、アーヴァインとビビ、行くよ」

ここに、
ヴィンセントは含まれていなかった。

「僕も行くの?」
「そーだよ。ビビも行くんだよ」
「あ、待って。今メモ書くから」

ユフィは引き出しからメモ帳を取り出して材料を書いてセルフィに渡した。ここで、アーヴァインが気の効いた台詞を言った。

「僕たちが買い物に行ってる間、ヴィンセントは一足早くユフィの部屋に案内してもらいなよ」
「っ!!?」

戸惑うヴィンセント。
なのに、ユフィは全然動じない。

「じゃ、よろしくね〜!
あ、それと・・・これ」

ユフィは財布から千円札を出して渡した。

「え?これは?」
「ふふん、
みんなの風呂上がりのアイス代」
「「ありがと〜〜!!」」

セルフィとリュックはユフィに抱きついてお礼を叫んだ。

「でも、いいの?」
「いいよいいよ。
お菓子とかジュースとか用意してもらったんだから、このくらいは、ね?」

いつになく太っ腹なユフィ。友達とこういう風に楽しくお泊まり会が出来たのが嬉しいのだろう。四人はユフィとヴィンセントを残してちゃっちゃと買い物に行った。

「・・・」
「とりあえず、
ジュースとか冷蔵庫に入れとこっか?」
「・・・そう、だな」

セルフィたちが用意したジュースを二人で冷蔵庫に入れてる間、ヴィンセントは心の準備をしていた。ジュースの片付けはあっけなく終わった。そして、ユフィに案内されて、階段を上がって一つの部屋に辿りつく。ユフィの部屋だ。

「ここがアタシの部屋だよ」

そして、ユフィの部屋の扉が開かれる。
ヴィンセントの鼓動も次第に早くなってくる。ユフィの・・・部屋・・・


ヴィンセントからしてみれば、ユフィの部屋は神の領域だった。

「入っていいよ」

ユフィによって開け放たれたユフィの部屋。比較的に落ち着いていて意外に片付いていた。その上、ユフィの部屋は独特な匂いがした。和むような落ち着くような香り。その香りがヴィンセントの鼻腔を満たす。

「ふふん、片付いてるでしょ?」
「・・・あ、ああ。そうだな」

我に返って曖昧な返事をすると、ユフィは不満そうな顔をした。

「あ、もしかして散らかってると思ってたでしょ?ひっど〜い!」
「・・・そんなことは思っていない」
「ホント〜?」

ユフィはしばらくヴィンセントを見つめたが、「ま、いっか」と言ってベッドに座り、枕の横にあるチョコボの人形を取って抱きしめた。そのチョコボの人形は・・・

「・・・ユフィ、それは・・・」

ヴィンセントが何かを言おうとしたが、ユフィは自分の隣をポンポンと叩いた。
つまり、座れということだ、隣に。

「・・・」

ヴィンセントは胸の鼓動を抑えつつ、ユフィの隣に腰掛けた。スプリングがぎしっと音を立る。少しだけユフィとの距離が縮む。それだけで心臓は破裂しそうで・・・。

「そ。中学の卒業遠足でゴールドソーサーに行った時、ヴィンセントがクレーンゲームで取ってくれた人形だよ」
「・・・まだ持っていたのか」
「当たり前だよ。だって、ヴィンセントが取ってくれたんだもん」

ヴィンセントは過去の自分を讃えた。

・・・よくやった・・・!!

だが、ヴィンセントは更に自分を褒めることになる。

「ていうか、アタシの部屋ってヴィンセントから貰った物が多いんだよね」

小さな置物であったり、何かしらのプレゼントであったり、今抱いてるチョコボの人形であったり・・・。

・・・確かにヴィンセントから貰った物が沢山あった。

・・・よくやった!自分にしてはよくやった・・・!


でも、一応・・・

「・・・感想は?」
「う〜ん、
こんなに沢山貰えて嬉しい・・・かな?」

小首を傾げて笑うその様は今にも溶けてしまいそうで・・・。ヴィンセントは勢いに任せてユフィを押し倒しそうになった。が・・・。



「「ただいま〜〜!!」」


階下でセルフィとリュックたちの声が聞こえた。その為、ヴィンセントの理性には一旦ストップがかかり、何とか変な空気を生まずに済んだ。

「お帰り〜!!」

ユフィはチョコボの人形を置いて降りてしまった。お昼ご飯はヴィンセントたちが作ってくれた。内容はお好み焼き。
何気おいしとはリュックの感想。
そして・・・

夕方近く。

「あ、もうこんな時間」

セルフィが時計を見て呟く。
時は5:55

「じゃあ、
今度はアタシたちが作りますか」

リュックが言ったのを合図にユフィたちは二階に駆け上がった。

「どうしたんだろ?」
「・・・何か取りに行ったようだな」

荷物は、女性陣はユフィの部屋に。男性陣のは客用の部屋に移動された。しかし、取りに行った物は一体なんだろうか。三人で思案していると、ユフィたちは降りて来た。

「「「じゃぁ〜〜〜ん!!」」」

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