『お座敷』

2010/01/06 09:25



ウータイの寝室は基本的に和室、
それと敷き布団。

あたしにとっては極めてごく普通のそれは、この仲間達に物珍しいのだと知ったのはもう、3年も前のことだ。


「…これ、に寝るのですか?」

布団のそばにしゃがんで首を傾げた今回のお客様にユフィは笑った。

「そうだよシェルク」

やはり馴染みのないものだったらしく、シェルクはしきりに布団をめくったり、叩いたりして様子を伺っている。可愛い。

「気は済んだか?ユフィ」

見ればヴィンセントは呆れた顔でユフィを見上げていた。

「…気が済んだ、とは?」

「目論見が成功したから」

見ればユフィは、にーっと見ているこちらが照れてしまう程の満面の笑顔でシェルクを見ている。

「知らないことを教えるのってこんなに嬉しいもんなんだなー♪」

「ことウータイに関してユフィには嬉しさ倍増だろう」

「さすがヴィンセント、分かってんじゃん」

「しかし、まさかユフィの家に温泉まであるとは思わなかったぞ」

「んー、
露天風呂があるのは宿屋かウチくらいだけど、他の家でも温泉を引いてるよ」

「なぜユフィの家だけに?」

「敷地の関係と、
ほら…ウチは道場の門下生もいるからさ」

「なるほど、だから今回は同室なのか」

「そう、本当は
客間を使う予定だったんだけどさー」

「いや…この、離れ、と言うのか?
なかなか贅沢なことだろう?」

「ありがとーシャルア」

「ここ、茶室なんだよ」

「茶室?」

「ん、今度抹茶立ててあげるよ」

「できるのか?」

「一応、如月の娘だから…ね」

習い事は小さい頃からやってんの

「その、イロイロあんのよ」

はぁ〜、と
ついた溜め息には珍しく疲労の色が濃い。

「花嫁修行というやつか…」

からかうように
ヴィンセントが口角を上げる。

「違うよ、見合い。」

その言葉にヴィンセントは固まったが、何を思ったかユフィは首を振った。

「第一ウチは婿養子の筈だし、逆に婿修行とか…うわ、ありそう」

その修行内容を考えてみたのかユフィはポフンと布団に突っ伏した。

「…ってことはその間
アタシが門下生担当?めんどくさい〜」


くぐもって聞こえにくいがどうやら我が身の面倒を心配したらしい。なんともユフィらしくて一同は声を忍んで笑う。




この分だとユフィの花嫁姿を見るのはまだ先のことになりそうだ。






コメント
2010/01/06 12:49 シキ [編集]

エメラルドさま

やはり婿養子?だと思ったのです
しかしエメラルド様宅のような
『悪魔の花嫁』のような
奪還も激しく良さげなのです!!
そうしてシキはシェルクが苦手なので
(だってだってDCでヴィンシェルって感じ)シェルク自体は大好きなのですが…

なので
ヴィンユフィを思いっきりpushしつつ
シェルクを絡めてやろうと思ったのです

ヴィンセント×シェルクは
シリアスで悲劇っぽいんだもの!!

だったら不毛な恋は止めて

ヴィンセント×ユフィだよ〜
まだ幸せになれそうな気がするんだ!!

ってかヴィンセントが
シェルクを傷付けそうなんだもの(笑)

だけど
EXILEの『Ti Amo』はしたいシキでした


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