たった7センチ。
されど埋まらぬ、
見上げるばかりの7センチ。



「あ、マテ」

並んで上った階段の半歩先を行って段飛ばし。
修兵は二段下で怪訝な顔をして見上げてくる恋次を手で制した。

「なんスか?」

予告無しのお預けを出された犬みたいな顔で、片眉を上げて睨み上げて来る。

背筋に走る優越は予想以上の期待越え。

「ヨシ」

両腕を伸ばしてお預け解除。
馬鹿がつく程忠実な犬っころは、身軽な動作で一段分近付いた。
途端、修兵の両手にがっしりと頬を挟まれて驚いた恋次はどうしたなんだと目を丸くする。

「別に・・・」

伝法に呟きながら、7センチ弱逆転の子供じみた優越感に口角が緩む。

「先輩なにニヤついて…っ!?」

その衝動に任せて恋次の唇ごと言葉の続きを飲み込んだ。
ぴたりと停止したその顔が見たくて、コンマ数秒で素早くキス。
恋次は予想外の衝撃に口からサヨナラしかけた魂を慌てて飲み込んで、そこら中に轟いたであろう雄叫びを上げた。

「うるせぇ」

「なに、コレがしたかっただけ!?」

「・・・まぁな」

「うわ可愛すぎんだよ!!あんた馬鹿か!!」

「お前に言われたくねぇ!」

「ちょ、先輩、俺今ならこっから転がって死ねる!や、死ねない!もう一回!もう一回今の!」

下から覗き込まれてひっ掴まれた両腕に、覚えた優越感はほんの一瞬。
今頃頭の天辺で心臓が早鐘を打ち出した。

「やんねーよ!忘れろ!下まで転がって死んじまえ!!」

ぐいぐいと恋次の顔を押し返して、
−いやだ死ねないもう一回!−
階段の手摺りにしがみつきながらだらしのない顔を晒している恋次を見て、せり上がった心臓と一緒に後悔と羞恥が頭いっぱい押し寄せた。



終わる


修兵は7センチの身長差をさり気なく気にしてればいいと思います。
っていうのを書きたかったのに、あれオカシイな・・・??

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