意外な関係

駅に向かう途中にあるいつものファミレス、新作が出たコーヒー店、一駅先に新しく出来たカフェ。部活のない放課後の使い道を話し合いながら廊下を歩いていると、からんと軽い物が廊下に落ちた音が聴こえてきて私は思わず振り返る。

「ちょっと待ってて」

私は友人2人にそう言って、廊下に転がっていた真新しい鉛筆を拾い、少し先を行く落とし主を迷いなく呼んだ。長い三つ編みを垂らした男子なんてこの学校には彼しかいない。

「橋田君!」

橋田君が振り返ると三つ編みが揺れた。橋田君は大きな段ボール箱を抱えていて、さらに箱の上には近くの文房具屋のビニール袋が乗っている。

「名字さん?」
「これ橋田君のじゃない?」

駆け寄って鉛筆を見せるとやっぱり橋田君の物だった。画材の買い出しから戻ったら先生から荷物運びを頼まれてしまった所らしい。

「おおきに」
「どういたしまして。っていうかこの時間から描くの?」
「部活みたいなもんやからね」
「そっか、頑張ってね」

橋田君と分かれて友人のところに戻ると2人が話しかけてくる。

「あれ橋田君っていうんだ?」
「たまに見かけるよね」
「名前知り合いなの?」
「図書室当番のときたまに話すくらい」

特進クラスは教室が離れているし名前は知られていなくても、学年で一番背の高い橋田君は同級生の中でも目立つ存在みたいだ。

「そういえばこないだ教室の前で高橋君と話してるの見たよ」
「なにそれ意外、何つながり?」

同じクラスの高橋君といえばいつも1人でいるイメージがある。なんだか近付くなオーラが出ている気がするから授業以外で話した記憶もない。

「わかんない。名前今度聞いてみてよ」
「そうする〜、ていうか今日どこ行くんだっけ」
「いつものとこでいいんじゃない?」
「宿題もやりたいし」

次に会うのがいつになるかわからないけれど、覚えていたら聞いてみようと思う。

2020/6/19
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