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「あーいいお湯だった!」
「ヒナリちゃんともたくさんお話できて楽しかったです!」


旅のことだったり、ヒナリちゃんの手持ちさんたちのことだったり…とにかく色々なお話が聞けてとても楽しい温泉だった。ふざけてお湯をかけてからのスキンシップは予想外だったけれど、あれもいい思い出である!うん!

たくさん話しても尽きない話題にヒナリちゃんと話しながら赤い暖簾をくぐると、グレアたちに合わせて3人の見知らぬ顔が揃っていた。しかし一人は青い髪のお兄さんの膝の上に頭を乗せて、完全にのぼせてしまっているようだ。ぱたぱたと団扇で仰ぐお兄さんは駆け寄るヒナリちゃんを見るなりぎこちなく笑みを浮かべる。


「彼方!彼方、どうしたの!?」
「大丈夫、ただのぼせてるだけだから」
「そんなに長く温泉に浸かっていたの…?」
「彼方のとこだけグツグツ煮え立ってたんだよ」


にっこり笑みを浮かべる可愛らしい少年は…多分理央くん、かな。パチリスそのものが可愛いし何より本当に愛らしい顔立ちをしている。視線をなかなか外すことができずにそのまま理央くんを眺めていると、ふっと目線が合う。


「こんばんは、"なまえおねーさん"」
「こ、こんばんは…」


天使だ天使。可愛すぎて思わず伸ばした腕を横から掴まれハッとする。黙ったまま首を横に振るグレアにクエスチョンマークを浮かばせつつ、再び理央くんへ視線を戻すとちょうどヒナリちゃんに抱きついて「いい匂いー」なんて言っているところだった。ただただ羨ましい。あー、ヒノアラシくんたちも連れてくればよかったなー…あー残念。


「漣、彼方のこと運んでくれるかな。私が運べたらよかったんだけど…」
「もちろん、俺が運ぶよ。ついでにヒナリちゃんも運びたいなー…なんてね」
「私は歩けるよ?」
「うんそういうと思った」


…漣さん、お気持ちお察しします。
何はともあれ、せっかく偶然にもこうしてヒナリちゃんと仲良くなれたわけだが、ヒナリちゃんにはヒナリちゃんの旅があり、また私にも私の旅がある。結局彼方くんとは話すことができなかったけれど、これが最後というわけではないのだ。


「またきっと、どこかで会えますよね」
「もちろんです!そしたらまた温泉にでも入りましょう」


楽しい時間とお別れだ。ちょっぴり寂しく思いつつ、また会える日を楽しみにしながらココちゃんと一緒に手を振った。





さて、部屋に戻ってぐっすり眠りについたところでもう翌日の朝がきた。今日は本題のアカネさんのところへ行くのだ。いつもお世話になっているお礼を持って、コガネジムへと足を踏み入れる。


「アカネー、遊びきたでー」


ココちゃんの呼びかけに反応無し。いつもなら「よおきたなあ!今日はうちの可愛いピッピちゃん、見せたるわ!」なんて飛んでやってくるんだけど、今日は一体どうしたんだろう。…ふと、ココちゃんが歩みを進めはじめてそれに黙って着いて行けば、だんだんとその音が大きくなってゆく。これはもしや…もしかしなくても…


「ピッピちゃん、こうなったら運やで!ゆびをふる!」
「れ、漣!うたう!」


…―ヒナリちゃん!
思わず声を掛けてしまいそうになるのを抑えて小さな観客席へ。生バトルが見れるなんて、さらにヒナリちゃんとアカネさんのバトルだ。記念すべき、バトル戦。はてさて勝負はどうなるのか。小さくも逞しい、彼女の背を見つめ拳を握る。
再び一緒に笑いあうまで、あと数分。




睦月りうさまより頂きました…わちゃわちゃ仲良し感たまらんです!!本編のコガネバトルにも繋げていただいて、本当に感無量です…ありがとうございました!

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