裏襲来 行動1
ふっ…と目を開けると、いつもの空が広がる。サラサラと炎のように真っ赤な髪を靡かせながら、スカルラットは街を見る。いつも通りの風景、だと思う。けど何か、違和感がある。
「んー…取り敢えず今日もレベリングかなー」
グッと伸びをしてから、杖を一振り。先程から感じる違和感が何なのかは解らないが、普段通りに過ごしていればいいだろう。そう思いながら、スカルラットが歩き出そうとした途端。
「やぁーっと見付けたぁー!」
「!」
耳に慣れた、いつも聞いているような声が、後ろから聞こえた。ぐるっと振り返ってみると、スカルラットはそこに居た人物に目を見開いた。
「えっ…ぼ、ぼく…!?」
そこに居たのは、群青色の髪を風に揺らし、白と青を基調としたとんがり帽子とローブ、その中にコルセットワンピースとタイツのようなブーツ。その青い右目の下には、黒い月が二つ。誰が何処からどう見ても、色と服装が違うスカルラットだと判断するだろう。その人物はニコリと微笑み、スカルラットへと歩み寄って来る。
「初めまして、緋色の魔女さん?こんなに早く会えるなんて思ってもみなかったよ!」
「えっ、と……?」
「ボクはオルトレマーレ、宜しくね?」
カツン、とブーツを鳴らして、青い魔女―オルトレマーレはスカルラットの目の前で足を止める。楽しそうな笑みを浮かべて。スカルラットはその吸い込まれそうな青の瞳から、目を離す事ができなかった。
「っ……」
「見れば見る程そっくりだね、やっぱり」
声が、出ない。緊張からか、それとも恐怖からか表情が強張っているスカルラットを、オルトレマーレは楽しそうに見つめている。
「さて、と…じゃあちょっと楽しもうか」
「っえ…?」
突然離れたオルトレマーレを見て、スカルラットの声がやっと出る。その一つ一つの行動を楽しむように見ながら、オルトレマーレは持っていた杖をスカルラットへと向ける。その瞬間、展開されるバトルフィールド。
「ねっ、ボクとバトルしよ?」