※秋ちゃん視点。Sun Like番外編。

なまえちゃんは、ある意味でとても罪な子だと思う。…いや、本人に悪気がないから、こんな事は口が裂けても言えないんだけど。
なまえちゃんが監督に呼ばれて不在の食堂で起こりつつある一つの争いを横目に見ながらわたしは思わず深々と溜め息を吐いた。

「…風丸、やはりお前も円堂を誘うつもりか。」
「何か文句でもあるか?幼馴染なんだし、別にいいだろ。」
「お前、幼馴染だという立場を利用しすぎだろう。」
「お前こそ、夕香ちゃんを利用してないか、豪炎寺。」

…鬼道くん、風丸くん、豪炎寺くんの三人の言い争いが始まる。論点は次のお休みに誰がなまえちゃんと一緒に行動するか。

この三人、皆が皆なまえちゃんに想いを寄せているのは雷門中、イナズマキャラバン、イナズマジャパンのメンバーにおいての常識みたいなものになってしまっている。というか、あからさまに分かるような態度を取ってるから、皆嫌でも分かってしまうのだ。…本人を除いて。

なまえちゃんは同性の私から見ても可愛いと思うし、性格も良いから、誰からでも好かれるっていうのは納得できると思う。現に音無さんや夏未さんなんかは彼女の事が気に入ったからマネージャーになってしまっているわけだし。
外見だってちっちゃくて何か守ってあげたくなるような感じだし、モテるのも理解できる。
…ただ、悲しいかな、本人はそういうことについての興味は皆無。むしろ自分に好意が寄せられていることさえも気付かない。周りの人が理解できるくらいあからさまでも、本人ばかりは全く気付かないままだ。

「俺のがよく円堂と一緒に休日に出かけたりしてるしな。」
「だからと言って円堂がお前を選ぶとは限らないだろう。」
「そうだな。」

未だに私の前で物騒な顔を突き合わせてにらみ合いをしている彼らに、隣に座っている音無さんはわくわくとした表情で何やらメモを取っているし、冬花さんは冬花さんで「それはなまえちゃんが決めることだから、今此処で彼らが話し合っても意味がないんじゃ…」と、至極まともなことを心配そうな顔をしながら言っていた。

「早くなまえさん帰ってこないかなぁ。ね、木野先輩、冬花さん!」
「ええ…?きっとなまえちゃん困ると思うよ?」
「わたしもそう思う。…なまえちゃん、優しいから誰か一人選ぶなんて多分出来ないだろうし。」

…本当にね。
冬花さんの言葉にわたしは思わず頷いた。彼女は優しいから、誰か一人を選ぶなんて絶対しないと思う。…ていうより、一緒に何処かにいこう、ていうのはイコール皆で何処かに!ていう思考にしかたどり着かないと思う。
可哀想だけど、あの三人が報われる日がくるのは本当に遠くなりそうだ。


8000のキリリク。藤森様に捧げます。
風豪鬼

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