稲妻町にも雪が降った。
昨日の天気予報で、この稲妻町の夜の時間が雪だるまのマークだった。
そして朝起きてみれば、見事に雪が積もっていた。
そんな雪道を踏み締めて、学校からの下校する私と彼。

「ねえ修也くん?冬ってこんなに凍え死んじゃうくらい寒かったっけ?」

「大体冬は寒いだろ。まあ今年は異常らしいから寒いのも当然だな」

「今年はすごいんだね。私達が帰ろうとすると雪が降り出して来ちゃったしね!」

サッカーが出来て勉強も出来てカッコいい、私には勿体ないくらい理想的な恋人の修也くんと帰宅途中。
何でだろうね、昼になって折角日が出て雪が溶けかかっていたのに、下校時間になると雪が静かに降り始めたの。
コートと手袋は持ってきたんだけど、手袋は今朝の登校中に溶けかかった雪の中に落として水で濡れてしまった。
だからコートを羽織っているとはいえ、手だけはそのまま冷たい風に晒されている。

「うー…寒いぃ……」

「…大丈夫か?」

「修也くんこそ寒くないの?」

「ああ、少し肌寒い程度だな。澪ほどじゃない」

「う、羨ましい…!」

修也くんはグレーのダウンを羽織っている。
私なんかコートの前をきっちり止めても寒いぐらいなのに、修也くんはいつものクールな表情を崩さない。
普段鍛えてるから、平気なのかな。

「手の感覚が危なくなってきた…」

「……手、繋ぐか?」

「え、えええ!?」

動揺する私をよそに、修也くんは当然のように手を差し出してくる。
は、恥ずかしい…でもここで嫌なんて言えないし…修也くんの好意に甘えるべきかな…こんなチャンス、滅多にないもんね。

「…じゃ、じゃあ、お願いし、ます」

緊張してしまう。
手を握るという、たったそれだけの動作なのに、ものすごくゆっくりになってしまう。
もうこうなったら勢いだ…!
修也くんの手に思い切り自分の手を重ねてぎゅっと握る。

「本当に冷たいんだな」

「ご、ごめんね!」

「いや、責めてるわけじゃないんだが…」

冷静な修也くんの言葉通り、私の手は本当に冷たかった。
彼だって手袋はしていないのに、私の手よりはずっと温かかった。

「温かいね…」

「そうか?」

「うん、すごく落ち着く」

「……なまえ、頭に雪が積もってるぞ」

急に修也くんが話題を変えたかと思うと、私の頭に手を繋いでいない方の手が添えられた。
フードは被っていなかったので、髪の毛だけはずっと降り続く雪をまともに喰らっていた。
そして私の髪の毛に付いた雪を払ってくれる修也くんの手つきが、まるで…。

「クスッ…」

「…?どうかしたか?」

「あ、いや、何でもない!さ、早く帰ろうよ!」

修也くんの手つきが撫でてくれてるみたいで嬉しかった…なんて言えるわけがない。
こんな想いができるなら登下校が面倒な雪の日も悪くないかな、と不謹慎にも思ってしまった。



イノセントラブ

(また雪が降ってくれないかな!)


光冠の怜さんから十万のフリリクとして頂いてきました!
甘くかつほのぼの…うーん、豪炎寺さんが優しい。わたしも撫でてもらいたいd(ry
ありがとうございました!これからも応援してます^^


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -