うららかな日差しの下、ごろん、と河川敷の土手に寝転がる。まだまだ風は冷たいけれど、それでも気温がだんだんと上がってきていて、今日みたいに風の吹かない良い天気の日にはそこそこの暖かさを感じることが出来た。…あったかいなあ。
女の子らしくしなさい、と秋ちゃんあたりに見られたら怒られそうだけど、今はどうせ周りに誰もいないから、と寝転がったまま、伸びをひとつ。そのまま寝返りを打つと草や花の優しい香りがふわりと鼻孔を擽る。その香りに誘われるように瞼をゆっくり閉じてしまえば、私の意識が飲まれてしまうのは案外早いものだった。

―バサリ、と乱暴に何かを体の上に何かを掛けられる音で目を覚ます。…なんだろう、いまの、おと。
まだ眠気を訴える脳みそを揺り起こして微かに瞼を開けると、そこには見慣れた人が座って川の方を眺めていた。物憂げに見える切れ長の瞳を寝起きの瞳で見つめていると、彼は視線に気付いたのだろうか、こちらを向いた。

「…起きたのかよ」
「ん、今起きた…」

呆れたようにこちらを見下ろす彼はゆっくりと私が起き上がるのを待って口を開く。

「お前、自分が女って自覚あるか?こんなとこで1人っきりで腹出して寝てたら襲われても文句言えねーぞ」
「お腹は出してないよ…そしたら明王くんが助けてくれるんじゃないの?」
「アホか、その場にいねーのにどうやって助けろってんだよ」

せめて目の届く範囲に居ろよな、とぼやく明王くんに近寄ろうと体を動かせば、するりと肩から落ちる明王くんのものであろう上着。窺うように彼の方を見れば、ふい、と目線を反らされる。それと同時に勢いよく体を元の体制…寝転がった状態に戻された。…今、地味に腰を打ってしまった…いたい。

「明王く…?」
「…疲れてんだろ。ここに居てやるから、さっさと寝ろ」

相変わらず顔を背けたままぶっきらぼうにそう言う明王くん。よくよく見たら耳が微かに赤くなっているのが見えて、思わずくす、と笑いを漏らせば寝ろ!と軽く怒鳴られてしまった。

おやすみ、明王くん。
笑いを堪えながらそう言って、目を閉じて再び微睡み始めた、その時。

「…おやすみ。…ゆっくり、休め」

その優しい言葉を心地よく聞いたのを最後に、私の意識は再び闇へとおちていった。次に目が覚めた時は、明王くんにおはようって言おう。そんな風に思いながら。


ピュアホワイトな恋心


viviのろーちゃんに捧げます!
一万打おめでとう^^


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