双子なんだけれど、同じところがあれば、違うところもある。
例えば、同じところ。サッカーが好きなところ。好きな食べ物や、苦手な食べ物。早起きが苦手なところとか、逆に寝るのは大好きなところ。お互いが大好きなところ。
例えば、違うところ。守は男の子、わたしが女の子だってところ。守は理数系教科が得意で、わたしは文系教科が得意なところ。守は頼られることが多くて、わたしは守られることが多いところ。
数えていけばキリがないほど、わたしと守は似ていて、そして似ていない。
だけど今までも、そしてこれからもきっとわたしと守は足りないものを補って、好きなものははんぶんこしながら生きていくんだろう。

「ねえ、守」
「んー?何だ?」

学校からの帰り道、2人で手を繋いで歩きながら隣を歩く守の横顔を見つめる。
身長はまだまだそう変わらないけど、体格や顔の形は一部、違いが出始めていた。…この先、もっと違いが出てくるのだと考えると、悲しくなってしまうけれど。

「ずっと一緒にいようね!大好き!」
「おう、勿論だ!俺も大好きだぜ!」

にかっと太陽の様に笑う守の隣で、わたしはこれからも生きてゆく。
繋いだ手のひらに少し力を込めたら、わたしよりもかさついた大きな手が握り返してくれるのを感じながらわたしは歩き続けた。

***

双子だけど、同じところも違うところも沢山ある。
サッカー好きだし、好きな食べ物や苦手な食べ物も同じで、早寝遅起きなとこも似てる。あと、俺も紗玖夜もお互いが大好きってところがよく似てる。
違うところは…俺はあまり気にならないけれど、俺が男で紗玖夜が女の子ってこととか、得意科目が正反対だったりとか…あとは何だっけ?
まあ、そんなカンジで似てるとこと似てないとこ、合わせて俺達は双子の兄妹ってことだ。…ん?姉弟、なのかな?ま、どっちでも良いけどさ。

「ねえ、守」
「んー?何だ?」

学校帰りの夕陽道、いつもの様に仲良く手を繋いで歩いていたら紗玖夜が唐突に声をあげる。俺よりも高くて、ちょっとだけ間延びした柔らかな声。反射的に返事を返して、彼女の方へ視線をやる。

「ずっと一緒にいようね!大好き!」

にこ、っと笑って見せる彼女はなんかふわふわとしていて、何か安心できた。ずっと一緒。それは俺たちの間では普通で、当たり前で。

「おう、勿論だ!俺も大好きだぜ!」

そしたら、また彼女は微笑う。握られた手に力を込めて、ずっと一緒にいられるように。
そうやって、また何時ものように一緒に帰り道を歩くのだ。


好きだな君が song by モーニング娘。




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