似た者同士の女の子

※風丸視点

最近、円堂と塔子が一緒にいるのを見るとひやひやさせられる。…いや、確かに女の子の友達が出来たのが嬉しいのか笑顔で塔子と話している円堂を眺めるのは楽しいし、何より2人が仲良くじゃれているのを見ていたら和む。和みはする、が。

「紗玖夜って首弱いよなー」
「ちょっ…塔子ちゃん、くすぐったいってば…!」

塔子も円堂も加減と言う言葉を知らないのだ。何せ同性同士で遠慮が要らないからか(最も2人とも男相手でも遠慮などしないが)、スキンシップもじゃれあいもそれはそれは過激だった。

「ちょ、も…う…ゃ、あっ!!」

円堂の声に、近くにいた男は皆耳を塞ぐ。今の彼女の声に、ある種の官能を見てしまった気がしたからだろう。ちらり、と目だけをそちらにやってみればどうも首筋が弱いらしい円堂に、塔子が楽しそうにそこを撫でたり息を吹き掛けたりしてじゃれている。

…そう、彼女達はじゃれあっている間に相手がどんな声をあげようがどんな格好になろうが全くもってお構い無しなのだ。
こないだなんて俺達がいる前で平気で楽しげに風呂に入るためなのか、互いの服を引っ張りあいっこしていたのだ。…半分くらい、下着を出したままで。

円堂が俺達の性別を気にしない奴なのは今に始まったことではないけれど、塔子が来たことによって何だか更に悪化してしまった気がする。最近では、何だか逆に男の居場所が少なくなったような気がするのはきっと気のせいではないはずだ。何と言うか、相手に恥じらいが無いと逆に俺達が恥ずかしくなる。

「塔子ちゃんったら!もう!」
「あはは、悪い悪い!でも、紗玖夜の肌ってすべすべしてて気持ち良いからさ、つい!」
「だからって何も首じゃなくても良いじゃない、も〜…」

何とか塔子を振り払ったのか、円堂は素早く乱れた髪の毛を整えてむくれたような表情で俺の所にやってきた。そして、一様に耳を塞いでいる俺達を見回して首をかしげる。

「…何してるの?皆」

心底不思議そうな顔をしてそう聞いてくる彼女に、もう耳を塞ぐ必要がないと悟った。

「いや…何でもない」
「そう?ホントに?」

こちらを覗き込んでくる彼女から出来るだけ目線を反らしながら頷く。あまり凝視していると、先程の妙に艶めいた声が蘇ってきそうな、そんな気がして。

「あ、ねえ塔子ちゃん!!わたしより一郎太のが肌が綺麗なんだよ!ほら!」
「うわっ!ちょ、やめ…!」
「へ〜…男の癖に狡いよな〜…えい」
「こ、こら、塔子!」
「ね〜狡いよね〜」

わらわらと2人が寄ってきたかと思うと、2人して遠慮無く俺の頬やら首やらをペタペタと触り始めた。
助けを求めようと周りを見れば…既に誰もが安全圏へと逃れていて、近くにはほぼ人が居なくなってしまっていた。唯一、近くにいる(と言えるかもしれない)鬼道に必死で目を向けてみれば。
…ただ、ぐっと親指を立てられてしまった。言外に、頑張れと言われているらしい。

「うわ…なあ紗玖夜、風丸って髪もさらさらなんだな!」
「そうそう、羨ましいくらいなんだよね〜…」
「…」

俺の硬直とは裏腹にエスカレートしてゆく彼女らのスキンシップと会話に、やがて俺は全てを諦めて彼女らに成されるがままに従うことにした。この2人が揃ったら、もうどうしようもないのだと、半ば諦めをつけながら。
…心の中で早く木野や雷門が来てくれることを渇望しながら。








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