コガネムシの大冒険

そんなこんなで何とか陸上へ、自分の家の近くまで戻ってきた紗玖夜は暫くの間、魚の4匹と一緒に川岸でお喋りを楽しんでいました。しかし、ふと家はどうなっているのか気になった彼女は魚の4匹に別れを告げて暫くぶりの家へと帰りだしました。…そしてその途中で。

「…半田くん?」
「あー…円堂…いちゃったか…」
「は?」

あちゃー、と言いたげな顔で空に浮かんでいる半田と出会いました。よくよく見たら背中に綺麗な羽が二枚ぷるぷると震えています。…彼はコガネムシのようです。

「どうかしたの?半田くん。どうしてこんな所にいるの?」
「あー…いやそれは…うーん…」

どうしようかなあ、いやでもやらないと俺の命が…と少々怖い事を呟いてなにやら悩み続ける半田。その様子を不思議に思った紗玖夜は何か困った事があるなら助けてあげよう、と思いながらうんうん唸り続ける半田に話しかけます。

「ねえ、何か困った事があるなら話してくれないかな?もしかしたら助けになれるかもしれないし」
「うん…いやそれが…うん、ちょっとごめんな円堂」
「え?…へ!?」

彼女のコメントを聞いてもなおうんうんと頭を抱えていた半田はもう思い切ってしまったのか、がばりと顔をあげて下から自分を見上げている紗玖夜をひょい、と抱えあげました。そして、突然の事に唖然としている彼女を抱えたまま、高く空へと飛び立ちます。紗玖夜がはっと我に返ったときには時既に遅し、と言うときなのでしょうか。

「ちょっ、と…!半田くん、降ろして怖いから!」
「ごめん、本当にごめん円堂!でも“川から帰ってくる途中の円堂を攫え、さもなければお前の命が無い”って脅されて!」
「一体誰に!?」
「シナリオに!」
「人じゃないよ!?」

空の上でぎゃんぎゃんと2人が言い争いながらぶんぶん羽の音を立てて飛んでいくコガネムシこと半田と紗玖夜は様々な人(?)に白い目で見られながら遠くへ飛んでいってしまいましたとさ。


ガネムシの冒険

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