IF〜鬼道の場合〜

神「…驚きです…」
蘭「ああ…監督が結婚してたってことも充分ビックリだがな」
速「サッカーに関しては流石だなあと思うところも多々ありますけど、基本的には僕らよりも子供っぽいですからね…」
神「でも…相手がまさかの元・敵監督だったなんて…」
鬼「…まああながち間違ってはいないが…その言い方は…」
円「仕方ないよ、鬼道くん。やっちゃった事への反省は大切でしょう?」
鬼「…まだ怒っているのか、円堂…いい加減許してくれないか…?」
円「やだ。冗談でも演技でも雷門のコに対して“潰せ”なんて言うなんて許せない!」
鬼「本当にすまなかった…何でもするから家から閉め出すのだけは止めてくれ…」

松「え!?家に入れてもらえないんですか!?」
車「じゃあ普段どこで寝泊りしてるんですか…?」
鬼「その辺にあるカプセルホテルに泊まっているんだ。…結婚して実家を出ている以上、実家に帰りにくくてな…」
三(可哀想な人だな…背中に哀愁が出ている気がするぞ…)
松「そんな…!可哀想ですよ監督!お家に入れてあげてください!」
西「そうですよ!家に入れないなんて寂しすぎます!」
円「2人とも…でも、皆の事怪我させちゃったりしてるんだよ…?」
天「俺たちならもう怒ってないど。許してやってほしいど」
倉「んなことでいちいち怒らねーよ」
神「そうですよ。…許してあげてください」
円「う…。…分った、…皆がかわいいから許す!…鬼道くん、今日からお家に入っていいよ」
鬼「あ、…ああ…ありがとう…(これは喜んでいいのか…?それとも哀しむべきなのか…?)」
佐「複雑すぎるな、鬼道…」

浜「ちゅーか、普通は旦那の様子で気付くんじゃね?監督、気付かなかったの?」
円「だって一緒に住んでなかったもん。鬼道くんはイタリアのチームに所属してたから、今もまだイタリアにいるんだろーなーって思ってたの」
蘭「連絡とかしてなかったんですか?」
円「んー…1ヶ月に1,2回くらい?の割合で電話してた」
春「少なっ!兄さん、何してんの連絡少なすぎでしょ!せめて3日に1回連絡入れなさいよ!」
鬼「い、いやその…国際電話は何かと高くついてな…」
春「馬鹿!“君のためならお金なんて”くらい言える男になりなさいよ!」
鬼「い、いや春奈、落ち着け…!!」
春「だまらっしゃい!いいからよく聞きなさい!」

円「…相変わらず仲良いなあ…」
倉「…仲、良いか?」
三「鬼道さんは…その、女難の相でも出ているんでしょうか…」

円「ねえ鬼道くん、今日の晩ご飯どうしよっか?」
鬼「そうだな…冷蔵庫には何が残っていた?」
円「えっと…キャベツと豚の挽肉と玉ねぎと…くらい?」
鬼「…あと卵とパン粉でロールキャベツが出来るな。帰りに買いに行くぞ」
円「はーい。じゃあメモしておくね〜」

倉「…夫婦だな」
三「本物だな」
鬼「…本物で何か問題があるのか?」
神「いえ…ただ意外とコーチが家庭的だったんだな、と…」
天「お坊ちゃまだったって聞いたど」
車「監督と同じで料理が出来るとは思ってませんでした」
円「え?鬼道くん料理上手だよ?すごく綺麗に玉ねぎ切ってたもん」
鬼「…まあ得意、と言うほど上手ではないが…ある程度のモノなら作れるぞ」
蘭「…監督、負けてますよ、女性として…」
円「え?負けてる?何が?」
鬼「いや…良いんだ円堂。気にしなくても」
円「?」

円「うー…やっぱり鬼道くんは凄いね…」
鬼「…そうでもない。それに、作戦を立てるのは俺の仕事、チームの士気をあげて引っ張るのがお前の仕事。適所適材という奴だ」
円「それはそうなんだけど…でもちょっとカッコイイな〜とは思ってたよ?」
鬼「そうか?俺はお前の方が凄いと思っていたんだが。こういう作戦は“どんな状況でもあきらめない事”が前提にあるからな。…もっと自信を持て、“キャプテン”だろう?」
円「…ん、そうだね。頑張らなくちゃ!ありがと、鬼道くん!大好き!」

春「…うんうん、これぞ雷門!って感じね!良い感じ良い感じ!」
神「あの二人が昔の雷門を支えていた柱だったんですね…」
春「そうよ。お兄ちゃんが司令塔として作戦立てて、紗玖夜さんがチームを精神的に支えて雷門やイナズマジャパンは成り立ってたの。…何かちょっと懐かしいなあ」
蘭「そう考えるとやっぱり監督って凄い人なんだよなあ…普段は全然だけど」
春「あの人は昔っからサッカー以外の事にはあんまり興味が無かったみたいよ?あと色んな人に甘やかされた結果かもね」
倉「…周囲が甘やかすってなんだよ…?何か文句とか言わなかったのかよ?」
春「全然。あのキャラで全面的に受け入れられてたし。…まあ全体的にほわほわ〜っとしててつかみどころが無いな〜くらいでいいんじゃないの?」
三「仮にも監督がそんなんでいいんでしょうか…?」
春「良いのよ。そのために兄さんがいるんだもの」
車(要するに尻拭い役って事か…)
倉「…大変ッすね、コーチ」
春「それが兄さんのいる意味だもの。大丈夫よ」
蘭「…可哀想に…」
IF〜鬼道くんとなら

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