天馬「あっ、監督、今日はお弁当なんですね!」 円堂「うん!今日はちょっと頑張った!」 神童「監督…料理できたんですか…」 速水「いっつもメロンパンばっか食べてるから…料理できないのかと思ってました…」 円堂「んー…あんまり上手じゃないけど、お母さんのお手伝いしてたから、それでちょっとだけ出来るの。料理よりはお菓子作りのが得意だよ」 南沢「お菓子ねえ…」 三国「正直、想像が出来ないな…」 霧野「…監督、これから毎日頑張って弁当作って、女子力をあげたらどうですか?」 円堂「女子力?あげたら何かあるの?」 浜野「んー…より女の子らしくなりますよ。…多分」 車田「それに婚活とかに役立ちそうだしな」 円堂「こんかつ?なんか美味しそうだね!」 神童「…監督、とんかつじゃないですよ。結婚活動の事です…」 浜野「ちゅーか監督今何歳?」 円堂「わたし?わたしは24だよ〜」 浜野「はー…20代も後半に近づいてんのか〜…」 霧野「…それにしては落ち着きが無さ過ぎないか…?」 南沢「というか、全体的に幼いよな。どう考えたって中学校の時から成長してねえだろ」 円堂「身長はちょっと伸びたし、体重もちょっとだけ増えたよ?」 南沢「いや、身体の方の成長じゃなくて。中身中身」 円堂「中身…?」 霧野「まあ、性格とかですよ。変わってないって言われませんか?」 円堂「んー…そういえば春奈ちゃんとか久遠監督に変わってなくて何よりって言われたような…」 速水「やっぱり変わってないんだ…」 円堂「え、大人になったら性格を変えなくちゃいけないの…?」 神童「いえ、別にそういうわけでは無いと思うんですが…」 浜野「まあ強いて言うならもうちょっと落ち着いてくれると助かりまーす」 円堂「う、うん…!わたし、頑張るね!」 三国「頑張って治るようなレベルなら良いんだがなあ…」 神童「三国さん、それは言ったら駄目だと思うんです…」 南沢「…で、監督。弁当の片隅にある赤くて何かぐねぐねしてんの何?トマトの皮?」 円堂「え?これ?これたこさんウインナーだよ?」 三国「これが…?」 南沢「たこだったのか…」 霧野「まあ言われてみればたこに見えるけど…」 円堂「…たこにしか見えない、よね?神童くん…」 神童「は、え…?あ、ああ、うん…たこです、ね…?」 円堂「ほら!たこさんだよ!!」 速水「いまの…言わされてましたよね…?」 円堂「そんなこと無いよ!これはたこさんなの!」 霧野「神童、お前なあ…」 神童「う…だって監督が…!」 浜野「神童はあれだな、捨て犬とか捨て猫とかを見捨てきれないタイプだな!」 神童「…だって…」 円「そんなわけで三国くん!たこさんのきれいな作り方教えて!」 三「そんなわけってどんなわけですか…?」 円「だってわたしが作ったたこさんのウインナー、神童くん以外は皆たこじゃないって言うんだもん…天馬くんが三国くんが料理とっても上手って言ってたから、教えてもらおうと思って」 三「(いやあれどうみてもたこじゃないだろう…)…まあ良いですけど。…どこでやりますか?」 円「ん?ん〜…うちに来る?台所はちっちゃいけど」 三「…監督、独り暮らしですか?」 円「うん、まあ基本的には。たまに皆お泊まりに来ることあるけど」 三「…ならうちに来てください、そこで教えます」 円「はーい!…って、良いの?家族のひとは?」 三「母しかいないですし…それに帰りが遅いので」 円「そうなんだあ…じゃあよろしくね、三国先生!」 三「せ、先生…?」 円「うん、だって料理教えてくれるんでしょう?」 三「はあ…まあ…」 円「なら先生だよ!ね!」 三「…はい、まあそう言うことにしときます…」 春(と言うか端から見たら完璧に年齢が逆転してるのよねえ…紗玖夜さんが生徒にしか見えないんだけどなあ…) 三「…監督、今までに包丁を握ったことは?」 円「え?何回もあるけど?」 三「…言い方を変えましょう、監督、包丁の使い方を教わったことは?」 円「無いよ〜。学生時代は包丁を持たせてもらえなかったから…」 三「ああまあそうでしょうね…取り敢えず猫の手から教えましょうか…」 円「ねこ?」 三「手を猫みたいに丸めてから材料を押さえるんです(…たこ作るまでにどれくらい時間かかるか…)」 円「にゃんこの手〜」 三「…先は長そうだな…」 円「にゃんにゃん!」 円「…やった!出来たよ三国くん!綺麗にたこさん出来た!」 三「は、はは…良かったですね監督…(これが出来るまでにほぼ4時間か…何とか包丁の持ち方が良くなったな…)」 円「ありがと三国くん!大好き!」 三「う、わあっ!?ちょ、ちょっと監督、…!?」 母「…あらあ、もしかして、お邪魔だったかしら?」 三「か、母さん…!?」 円「あ、お母さんなんだ?お邪魔してます、円堂紗玖夜って言います!」 母「あらあら、ご丁寧にどうも。太一の母です」 円「お母さん美人だね〜…羨ましい…」 母「あら、ありがとう。でも貴女も十分可愛いじゃない」 円「ホントですか!?ねえねえ聞いた三国くん!可愛いって言われちゃった〜!!」 三「あ、ああ…ええと、その…良かったですね…(嫌な視線が…!!)」 母「…うふふ」 母「やるじゃないの、太一。年上の彼女さんを家に連れ込むなんて。もうちょっと遅く帰った方が良かったかしら?」 三「違う!彼女じゃなくて監督!サッカー部の新監督だから!」 母「あら、それじゃ告白はこれからなの?本当に遅く帰ったほうが良かったかもねえ…」 三「だから違うって!ホントにそんなんじゃないから!」 母「大丈夫よ、ちょっと待ってなさい」 三「…で?」 円「お赤飯!美味しそ〜!食べてもいいんですか!?」 母「ええ、勿論!こんなものしか出せなくて悪いんだけど」 円「やったあ!いただきまーす!」 三「監督!…母さん、この赤飯は一体何なんだ?」 母「何って…お祝いよ」 三「だからあああ…!!」 円「美味しい!このお赤飯ホント美味しい〜!!」 三「監督…空気を読んでください空気を…」 母「またいつでもご飯食べに来て頂戴ね」 円「よろこんで!」 三「…胃が痛い…」 三「…」 神「あの…どうしたんですか、三国さん。胃薬なんか握り締めて…」 三「いや…ちょっと家に団欒の場所が無くなったなと思ってな…」 神「?」 三国先輩とたこさんウインナー |