※Sun Like番外編

右見ても外国人、左見ても外国人。
同じ日本人なんて全然いないこの空間に存在する人間。
…もしかして、わたしハメられたのかな。

「チャオ、紗玖夜。今日も可愛いね。」
「やあ紗玖夜、久しぶりだね。元気そうで何よりだ。」
「こんにちは、レディ。相変わらず愛らしくて魅力的ですね。」
「…こんにちは、フィディオくん、マークくん、エドガーさん。貴方たちもお変わりないようで何よりです。」

ずらりとわたしの周りを取り囲んで挨拶をしてくるのはイタリア代表チームの副キャプテンとアメリカ代表チームのキャプテン、そしてイギリス代表チームのキャプテン。
そう、今日は代表チームのキャプテンだけで集まる会合のようなものがある、と監督から言われたから来たものの、何か策略を感じ始めてしまった。…誰なの、こんなの企画したのは。

「ミー達アメリカ代表だよー。」
「ディランくん…。」
「やだなぁ、別にくん付けしなくても良いのに〜。」

“ちゅーす”という独特な挨拶の仕方と一之瀬くんを彷彿とさせるあの妙なピースサインの様なポーズを決めて現れたディランくんはあっさりわたしの頬にキスしてきた。…相変わらずだなぁ、このアメリカンボーイ。
最初に初対面でやられた時は思わず悲鳴を上げてしまったが…。何かもう慣れてしまった。慣れって恐ろしい。

「あ、ちょっとディラン!」
「ん?なんだいフィディオ。キスしたいならすれば良いじゃないか。紗玖夜は優しいから怒らないよ!ね、紗玖夜!」
「こらディラン。アメリカでは挨拶でもジャパンじゃ違うだろ。」
「そうですね、いくらアメリカで挨拶であったとしても控えるべきです。例えレディが優しくてもやってはいけないと思いますよ?」

次々と他のキャプテンたちが批判を口にする。…ああ、もう帰りたい。誰かに付いて来てもらうべきだったかも。一郎太とか豪炎寺くんとか鬼道くんとか…!
ふう、と溜め息を吐いた瞬間、顔を上げれば何故かドアップのフィディオくんとマークくんの顔があって。声を上げる暇も無く、両頬に柔らかい唇の感触。

「な…!?」
「うん、ごめんね紗玖夜!やっぱり紗玖夜が可愛すぎて!」
「そうだな、悪い。まあ挨拶だと思って慣れてくれ。」
「いや、まあ慣れたけど…!」

だからって皆が皆やらなくても、と思った瞬間、今度は右手が持ち上げられる感覚がして、そして手の甲に柔らかい唇の感触再び。

「ちょっ…エドガーさんまで何して…!?」
「いえ、失礼。イギリス式の挨拶なんですよ。」
「も、もう…何でこう海外式の挨拶ってこんなスキンシップ過多なの…!?」

結局、再び論争に戻ってしまった4人にほったらかしにされたわたしは、一人にされてしまい。
気を使ってくれたテレスが4人を止めてくれるまで、一人ぼっちで四人の真ん中に残されてしまった。

ちょっと怖いなと思っていたテレスへの好感度が上がって、その日一日は終わってしまいましたとさ。

kiss kiss kiss!

封妃様に捧げます。

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