※Sun Like番外編。フィディオ視点

イナズマジャパンは天才的な司令塔とチームの精神を支えるキャプテンの二柱によって支えられ、成り立っている。
アルゼンチン戦でそれが改善されたものの、やはり二柱の存在は未だに強固なままだ。
…特に。

「…円堂を離してもらおうか。」
「そんなに怖い顔をしなくても良いじゃないか〜。ミー達は今日紗玖夜と遊びに行く約束してるんだし。ね、紗玖夜!」
「う、うん…。」

多少ひきつった顔をしている彼女―イナズマジャパンの正GKであり、キャプテンである円堂紗玖夜の影響力は半端じゃない。
チームの紅一点を張るだけはある、と言ったところか。

「円堂、俺達はそんな話聞いてないが?」
「…ごめんなさい鬼道くん。」
「何で話さなかったんだ?」
「豪炎寺くん…話したら怒らなかった?」
「いいや、怒っただろうな。」
「…一朗太の意地悪。そうなるだろうから黙ってたのに…。」

次々に自身のチームメイトに責められて可哀想なくらい縮こまり、唇を軽く尖らせている紗玖夜に俺達―マークやエドガーは頬を緩ませていた。…可愛い。
俺もその光景に微かに笑っているとキッと風丸がこちらを睨んできた。

「円堂をどうするつもりだ?」
「どうするも何も、遊びにいくだけだ。なあディラン。」
「そうそう!ミー達アメリカエリアに案内しようと思ってさ!」

睨まれたマークは涼しげにそう返し、ディランも楽しそうにしている。
エドガーも皮肉な笑いを口許に湛えつつもいつもの口調でイナズマジャパンに喧嘩を売っていた。

「…それとも、君達はこのレディ1人いないと何もできないのかな?」
「何…!?」

…不味いな、一触即発の空気になってしまったな。

「まあまあエドガー、落ち着いてよ。」
「鬼道くんも一朗太も落ち着いて…。」

俺が取りなすように言えば彼女も同調するようにチームメイトを落ち着かせようと声を掛けた。
そして申し訳なさそうに目を細める。

「ごめんね、皆。説明は帰ってからするし、お説教もゆっくり受けるから…今はフィディオ達と行動させて。お願い。」
「…今だけだぞ。」

流石キャプテン、お願いの一言で皆を渋々ながら説得してみせた。…まあ、上目遣い+僅かに潤んで見える瞳っていう、男としては何とも言い難い素敵なオプション付きなんだけど。

「よし、話は決まったな。悪いがイナズマジャパン、君達のキャプテンを暫く借りるよ。」
「きゃ…!」
「ちょ…お前…!」

小さな悲鳴が聞こえたからそちらを見てみれば、マークが可笑しげに笑いながら紗玖夜をお姫様抱っこしていた。恥ずかしいのか、抱き上げられた本人は顔を真っ赤にしている。…狡いな、マーク。後で俺もお姫様抱っこやらせてもらおう。

「あ〜!マーク狡い!!ミーもやる!!」
「ああ、そのあとは私も。」
「え、エドガーさんまで!?というか降ろして、マークくん、怖い!」
「お前達…俺達の目の前で…!」

完全に置いていけぼりになったイナズマジャパンから怒りのオーラが立ち上る。…あ、マズイ。
結局、遊びに行くなんて出来ず、ひたすらキャプテンを取り戻そうとするイナズマジャパンとジャパンエリアでおいかけっこをして、その日一日は終わってしまった。

…まあ、最終的には紗玖夜をお姫様抱っこ出来たし、今回はこれくらいで我慢しておこうかな。

make a monopoly of her

匿名希望様に捧げます。


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