がたがたとせわしなく揺れる電車の中で帝国学園へと向かう。電車なんて久しぶりに乗ったなあ、なんて感慨はともかく、いよいよあの帝国学園ともう一度試合できるんだ、ということで皆も盛り上がっていた。

「えっと…響木監督、何か一言お願いします。」
「俺がか?お前が言ったらどうだ?」
「あはは…わたしより監督の言葉の方が何となく緊張感が出るかな〜と思いまして。」

やれやれ、というようにわたしに視線を落とし、ゆっくりと立ち上がると全員に聞こえるような大きくて低い声で皆に声をかけた。

「俺からはたった一つ、全てを出し切れ。…後悔しないようにな。」
「はい!」

皆からの威勢のよい返事が返ってきたのを確認して、響木監督がもう一度座りなおす。…と同時に何かしら考え込む様な感じで黙ってしまう。それを不思議に思いながら目の前に視線を落とすと、豪炎寺くんが腕を組んで目を閉じたまま座っていた。
…寝てるのかな?

ついつい好奇心に駆られてそっと豪炎寺くんの頬に手を伸ばす。そして指先で頬をついてみた。ぷに、という柔らかい感触。意外と…って言ったら失礼だけど、ほっぺたが柔らかい。何かこう…マシュマロみたいな感じかなあ。
あんまりにも気持ちよかったから、思わず遠慮なくぷにぷにと指先で頬を突いていたら豪炎寺くんがゆっくりと目を開いた。

「…何だ?」
「あ、ごめん。寝てるのかな〜と思って…寝てた?」
「いや…。」
「そうなんだ…ほっぺ柔らかいね。」

何の脈絡もなくそう言い出せば、彼は微妙な顔をしている。…何か気に障ることでも言っただろうか?

「…褒めているのか?」
「褒めてるけど…。」
「…そうなのか。」

微妙な顔をしたまま、豪炎寺くんはそれっきり黙ってしまった。…やっぱり、彼なりに緊張、というか興奮してるのかな、と思いつつ、頬から指を離した。ちょっとだけ名残惜しい感じもする。…また今度触らせてもらおう。
そう思いつつ皆が談笑している中に混じっていたら、壁山くんが悲鳴のような声を上げた。

「な、何スか、あれ!?」
「まるで要塞じゃねえか…!」

帝国学園が見えてきたようだ。皆がわらわらと集まって窓から校舎を覗いている。うちのあの開放的な感じを思わせる校舎とは似ても似つかない、息が詰まりそうなまでに厳重な…あるいは荘厳、とも言ってもいいのかもしれないほどの校舎が聳え立っているのが見える。
目金くん曰く、真ん中にそびえているのがサッカーフィールドなのだそうだ。
…あんな所で試合が出来るなんて、ちょっと感激。フィールド負けしないように頑張らないと!



 


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -