「新聞部、音無春奈!今日からサッカー部マネージャーやります!」
「…はあ。」

今日も今日とて尾刈斗中との試合のために特訓しようと、サッカー部の皆と一緒に部室に行けば、新聞部の春奈ちゃんからこんな宣言をされ、わたしは思わず目を点にして生返事を返してしまった。
何でも春奈ちゃん曰く、あの帝国との試合以来、サッカー部のファンになっちゃったらしく、練習見てるだけじゃ物足りないからマネージャーやりたい、ということらしい。

「それに!わたし、紗玖夜さんの個人的なファンになっちゃいまして!」
「ええ?わたし?」
「はい!何回もゴール割られても諦めないあの姿!同じ女性として憧れます!ていうか、惚れました!」
「は、はあ…。それは…ありがとう…。」

何ていうか、このテンションの高さ。というか惚れたって何、惚れたって。
春奈ちゃんの言葉押しに押されまくっているわたしに苦笑を向けて、秋ちゃんが口を挟む。

「…ていうわけなんだけど…いいかな、紗玖夜ちゃん。」
「え?あ、うん。…じゃあこれからよろしくね、春奈ちゃん。」
「はい!」

にこにこと楽しげに笑っている春奈ちゃんに絆されたか、思わずお願いしちゃったけど…。まあいっか、マネージャー増えるって嬉しいことだし。

「音無って…。」
「やかましの間違いじゃないの?」

…でも、半田くんとマックスくんが言ってた言葉にはちょっと賛成かな。

***

春奈ちゃんがマネージャーに加わり、それに対して挨拶やら何やらをしてから河川敷に向かう。既にそこにはシュートを何本も打って汗だくの染岡くんがいた。…やっぱり、シュートが外れがち、みたい。

「染岡くん!」
「…円堂か…。」

慌ててわたしは秋ちゃんからタオルを受け取って手渡すと、彼は力なくサンキュ、と言ってそれを受け取り、乱暴に自分の汗を拭っていた。

「…調子は、どう?」

おずおずと聞いてみれば、彼は苦笑して首を横に振った。

「上手くいかねぇよ。何かいけそうなのに、ゴールが全然決まんねぇ。…これじゃ、ストライカー失格だな…。」

何時に無く寂しげに笑う染岡くんにわたしは思わず押し黙るしかなかった。




 


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