※源田視点

「…あのGKやるな…。いくらノーマルシュートとはいえ、全部防いでやがるし…。」

ドリンクを飲みつつ寺門が感嘆の声を上げるのを俺はいたたまれない気持ちで聞いていた。同時にふつふつと沸いてくる、疑問。
ここまでして、総帥は豪炎寺という奴を引き出したいのだろうか。

ちらり、と彼女がいる雷門側のベンチを見るとヘトヘトになったメンバーを必死に励ましているように見えた。
彼女自身も大分体力を消耗しているのだろう、白い顔から血の気がひいて青白くなり、その細い手足も時折震えているように見える。
俺は堪らなくなって傍で無言でドリンクを飲んでいた鬼道に声をかける。

「…なあ、もう止めた方がいいんじゃないか?あの子、もう限界だぞ?」
「…それは出来ない。総帥の命令だ。」

苦々しく、あまり乗り気ではなさそうな声だが、鬼道はあれを後半でも使おうとしているのだ。俺たちの必殺技…デスゾーンを。
あんなにか細い腕や身体で、三人技のデスゾーンを受けたら…それこそ、彼女は倒れるだけじゃ済まされないだろう。もしかしたら、二度と使い物にならない身体になる可能性もあるのに…!

そこまで考えて俺は空恐ろしくなった。…総帥は、あんなか弱そうに見える女の子をボロボロにしても平気なのか、と。

「…源田、お前の気持ちも分かる。俺も…出来ることならやりたくない。…何でだろうな、相手が女だからか、それとも別の理由なのか…。兎に角、こんな事を早く辞めてしまいたい。…だが、俺たちにとって総帥の指示は絶対だ。…分かるな?」
「…。」
「だから頼む、今は何も言わないでくれ。」

苦しそうな、悩んでいるような鬼道の声を聴いて、俺は押し黙ることしか出来なかった。
後半戦を開始するため、俺たちは無言でグラウンドに入っていった。
既にゴールの前に着き、必死でゴールを護ろうとする彼女の姿を目に焼き付けるように。





 


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