帝国との試合の当日。
グラウンドは何時もよりも人が集まり、これから来るであろう帝国を待っているようだった。

「…いよいよ、だね、紗玖夜ちゃん。」
「秋ちゃん…うん、そうだね…。」

助っ人の紹介も終わり、わたし達もグラウンドに出て帝国を待つ。そこそこ楽しそうに話を弾ませている部員からひとりぽつんとはなれ、わたしはグラウンドを見つめて少し考え事をしていた。

「紗玖夜ちゃん?大丈夫?さっきから元気ないみたいだけど…。」
「え、何でもないよ、元気元気!」

心配そうにこちらを見てくる秋ちゃんに笑い返して両手を握る。安心したように笑った秋ちゃんがふっとベンチの方に行ってしまうのを見て、思わず溜め息を吐く。

空を見上げれば、あまり良いとは言い難い天候。灰色の雲が立ち込めて、何だか嵐が来てしまいそうな…不吉な予感が漂う天気だった。

ここ数日間、久しぶりの試合ということで喜びを感じつつ、それでも日に日に頭をもたげてくる不安感が気になって、帝国学園についてをあの新聞部の音無さんと言う子に協力を要請して調べてまわった。

そして、彼らの噂を耳にしたのだ。
何でも帝国は練習試合を申し込み、相手校を圧倒的な力でねじ伏せ、挙句学校を破壊して回っているとか。
それも、相手校に選ぶのは決まってサッカーの名門…とまでは言わないけれど、そこそこ強い学校らしい。

…そんな学校が、何故ここに試合を申し込んだのだろう?




 


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