いつもの通り、河川敷での練習を行う。監督の話も大事だけど、やっぱり帝国に勝つには実力をつけるのも必要なことだ。
半田くんと一郎太がボールを取り合い、一郎太の方がボールを奪取、そのまま壁山くんに綺麗にパスした…かと思いきや。

びにょーん、という何とも間抜けな音を立ててボールが壁山くんへ当たり、そのまま弾き返される。うわあ…凄い、ゼリーみたい…じゃなくて!

「壁山くん!しっかりしなさーい!」

まるで巨大なおにぎりのような感じで丸くなっている壁山くんに近づいて声をかける。

「壁山くんってば!」
「…俺たち…負けっスよ…。」
「…どうしてそう思うの?」

何時にも増して後ろ向きな壁山くんがぶつぶつと呟く。監督がいないのでは、どんなに練習しようとも絶対に勝てないと。そもそも出場することが叶わないから、勝つも負けるもないかもしれないのだけれど。
ゆっくりと周りを見渡せば、他の皆も心の奥底で思っていたのだろう、皆深刻そうな顔つきで俯いたり、目線を彷徨わせていた。

その重苦しくて、嫌な空気を一蹴しようと壁山くんの肩に手を置いて、説得を試みる。まずは、その空気の原因を取り除いておかないと。

「諦めないで、壁山くん。監督になってくれる人は、絶対いるから!」
「…ホントッスか?本当にそう言えるんッスか?」
「ほ、本当だって!絶対いるから!」
「絶対にそうだって…言えるんですかあ!?」
「きゃあああっ!?ちょっまっ…重い!重いから壁山くん!!」

いつもよりも疑心的になっている壁山くんに押されてたじろぎながらもそう言うと、彼は勢いよくわたしの肩を掴んできた。その勢いと重さに思わず耐え切れずに膝をつけば、そのままぐっと体重をかけられる。…冗談抜きで重い、潰れる!

「だ、だれか…!」
「お、おい、壁山離れろ!潰れる、円堂が潰れる!」
「わああ!キャプテン!しっかりしてください!!」

殆ど絶叫する勢いで半田くんと一郎太が壁山くんをわたしから引っぺがす。その隙に豪炎寺くんの手を借りて立ち上がったわたしは取りあえず一息つく。…本当に圧迫死するかと思った。
豪炎寺くん達にお礼を言おうと口を開いた瞬間、土門くんの言葉によって沈黙に支配される。

「…鬼道さん…。」

声と共に上げられた視線を追ってみれば、思いつめたような顔をしたような鬼道くんがこちらを見下ろしていた。



 


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