何と、GKを含める選手の3人がゴール枠にしがみ付いて、ゴールをずらそうとしている姿が顕わになったのだ。必死で目金くんがそのうちの1人を抑えながらシュートが決まらなかった訳をわたし達に説明した。

あの五里霧中という土煙を出す必殺技は、ゴールをずらすのを見られないためのカモフラージュ。ゴールが決まらなかったのは、タイミングを合わせてゴールをずらしていたからだったのだと。
…因みに、何でそれが分かったか。それはとあるアニメ?で、相手が使っていた技を思い出したらしい。…なんていうか…よく分からない世界だなあ…。

…と、感心している場合では無い。種と仕掛けが分かった後、目金くんにしては珍しく激昂して相手の人たちを詰っていた。しかし、相手方にはそれは通用しなかったらし
い。
そして、それが目金くんの意外な一面を見ることに繋がった。
カットされたボールを半田くんがスローインしようとした瞬間、積極的にボールを渡せと言い放ったのだ。
その異常なやる気に、思わず周囲は唖然となった。しかもやる気だけではなく、確実に相手をドリブルで抜かしていく。…あの目金くんが。

「…あれ…ホントに目金くん?目金くんの皮を被った別人なんじゃないの?」
「いや正真正銘目金だろ…。」

呆然とその彼らしからぬ強行突破を眺めていれば、更に彼は大胆な行動に出た。
…何と、ずらされるゴールとのタイミングを合わせて、自分の顔面でドラゴンクラッシュの軌道を変えて見せたのだ。

その後、もちろん目金くんは倒れてしまって退場になってしまったけれど…何だか秋葉名戸の人たちが彼の行動に感銘をうけていた。
これからは、真面目に全力を尽くす、と。

***

2-1で試合終了。目金くんの活躍の後から、すごくいい試合が出来たと思う。

あちら側でわいわい盛り上がって楽しそうな目金くんと秋葉名戸のある意味異様な光景を見て、勝利を実感して。

―次の相手…帝国への期待と喜びに任せて空を見上げた。

…次こそ、負けないから。




 


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