※風丸視点

御影専農中との決闘…の後はサッカー部は落ち着きを失っていた。それもそうだろう、相手は…下鶴とか言う奴は豪炎寺のファイアトルネードを完全にコピーしていて、あまつさえその技で円堂を吹っ飛ばしたのだ。
GKの杉森とか言う奴は豪炎寺のファイアトルネードを簡単に受け止めてしまうし…。
そんな訳で今のサッカー部は少しばかり落ち着きが無い上に荒れている感じがする。
…特に円堂が。

「おい円堂…。」
「…一郎太うるさい、ばか、きらい…。」
「…八つ当たりするだけの元気があるなら大丈夫そうだな。」

因みにあれ以降円堂は極端に口数が減った。よっぽど止められなかったのが悔しいのか、口を開けば俺への八つ当たりばかり。…意外と円堂はこういうときのメンタルが弱い。
何時までも子供っぽさが抜けないのだろう、多分。…毎回毎回事あるごとに八つ当たりされる俺も、そろそろ慣れてきてしまった辺りが物悲しい感じもするが。

「もういい加減機嫌を直せ。拗ねてたって始まらないだろ。」
「分かってるけど…。」

ふくれっ面をしたままの円堂を宥めるべくぽんと頭を叩くとぷい、と横を向かれてしまった。それを見つつ音無と豪炎寺が苦笑して、染岡が呆れたような顔をしていると、タイミングよく木野が入ってきた。

「皆、夏未さんが呼んでるよ!」

***

呼び出された先は何と開かずの扉と呼ばれているらしい古く錆びた扉の前。目金曰く、ここらでは怪談話が後を絶たないんだとか。
さっきまでは俺へ背を向けていた円堂が服の裾を掴むのを感じる。…ああ、そういえばコイツ、怪談話駄目だっけ。
うっかり尾刈斗中との試合のときにそれを漏らしてしまって円堂に大概責められたなあとかぼんやりと考えていると、恐る恐る円堂が前に出て行っていた。

そうしてその扉に触れようとして…それは叶わず。何故なら内側から雷門夏未がその扉を開けたからだ。

「ふうん…コワいもの苦手だって聞いたけど、本当だったのね。意外と女の子らしいところもあるじゃない。」
「…夏未ちゃん酷い。」

雷門は意外と性格が良くないらしい。

***

夏未ちゃんが見つけてくれた、地下修練場。それはかつてイナズマイレブンが実際に特訓に使用していたらしく、その跡が沢山残っていた。
ここなら誰にも見つからないし、それにトレーニング用の機器もそろっていて、ちゃんと動く。…場所はまあ…あれだけど、この際贅沢は言ってはいられないだろう。

「気に入ってくれたかしら?」
「…うん!すっごく気に入ったよ!!夏未ちゃんありがとう!大好き!!」
「な…!べ、別に私は…!!」

歓喜のあまり夏未ちゃんに思いっきり抱きつけば、夏未ちゃんは真っ赤になってモゴモゴ何か呟いていた。
それにしても嬉しい、次あの人達と勝負するときは絶対負けないから!!

「よし、皆練習しよう!」

気分が段々高揚してきて、皆にそう声をかければ、皆が一斉に頷いた。




 


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テーマ「人外ファンタジー」
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