古株さんの話ではイナズマイレブンというのは伝説のサッカーチームだとか。40年前のフットボールフロンティアで優勝目前だったとか。
そして、そのサッカーチームを率いていたのが…うちのお爺ちゃん、だったらしい。
古株さんはすごく有名なお爺ちゃんの話を孫のわたしが知らなかったことに驚いていたけど…そんな話は初耳だ。

お爺ちゃん、そんなに有名だったんだ…。でも、何でイナズマイレブンはフットボールフロンティアで優勝できなかったんだろう?
謎が残ったままのような、後味が悪い感じもしたけど…何にせよ、部員の士気は一気に上がった。
伝説のイナズマイレブンのようなサッカーチームになる。…わたし達の目標が、ここで決まった。
…のは良かったのだが。

「…どうするんだ、円堂。」
「んー…どうしよっか、豪炎寺くん。」
「なんでそこで俺にふる?」

夕暮れも深まり、岡の上にある鉄塔を鈍く輝かせる帰り道、一郎太と豪炎寺くんと並んで帰りながらうなる。…新必殺技が、全く出来上がらないのだ。
まあすんなりうまくいくなんて思ってなかったけど…ここまで難航するとは思わなかった…困ったなぁ、高さををポイントとする必殺技が必要なんだけど…。

「必殺技無しで挑む…っていうのはキツいよね…。」
「ああ、あいつらのプレーは本当に野生的だからな。素早いしスタミナはあるしで厄介だぞ。」

うーん、とわたし達が考え込んだ瞬間。…くぅ、とわたしのお腹がなってしまった。
一郎太が一瞬の沈黙の後、ぷっと吹き出す。豪炎寺くんも何か微笑ましいような顔をしている。
凄く恥ずかしい。一郎太だけならともかく、豪炎寺くんまでいるのに…。

「…ごめんなさい。緊張感無くて…。」
「…いや、良い。腹が減ってるのは俺たちも同じだしな。」
「折角近くまで来たし…ちょっと寄り道していくか?雷々軒に。」

未だに楽しそうに口角を吊り上げ、必死で笑い声を抑えているように見える一郎太の頭を軽く小突くと、その誘いに頷いた。…寄り道する上に買い食いなんて知られたらお母さんに怒られそうだけど…でも本当にお腹空いてるし…ごめんね、お母さん。

***

雷々軒は稲妻町の商店街にある小さなラーメン屋さんだ。幼い頃、両親と共に何度か来たことがあるが、それも随分昔の話。ただ幼いながらに覚えているのは、そこのラーメンが美味しかった事と、ちょっと店のおじさんが怖かった事。…いや、今思えばただ単に寡黙で見た目がコワいだけで、実際は全然怖くないのかもしれなかったのだけれど。
一郎太達は何度か部活帰りに利用したことがあるらしく、相変わらず美味しいと言っていた。

「…で、何でラーメン屋で餃子頼むんだお前は。」
「だってあんまり食べ過ぎたら夕ご飯食べられないし。」
「あの運動量ならそれくらい食べられると思うんだが…。」
「…やっぱり男の子なんだね〜。」
「あんまり関係ないだろ。」

両隣に腰掛けた一郎太や豪炎寺くんはしれっとした顔をしてラーメンを頼んでいる。聞けばこれくらい食べていても夕ご飯は普通どおり食べられるんだとか。…うーん、流石は男子、というべきか。羨ましいくらい大きい胃袋だなぁ…。



 


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