“君も物好きですね、こんな弱小チームに入ろうなんて…”…とかいうとっても失礼な言葉を残して冬海先生が部室から出て行った。本当に嫌な人だなあ、夏未ちゃんに頼んだら別の人に変えてもらえないかなぁ。
思わず溜め息を吐くと、秋ちゃんの方から声が聞こえてそちらを見やった。

「土門くん。」
「秋!お前雷門中だったの!?」
「…秋ちゃんのお友達?」
「昔ね。」

親しげな様子に部員も含めて二人を交互に見つめる。相当仲がよかったんだろう、二人とも凄く嬉しそうだ。
秋ちゃんの嬉しそうな顔に、わたしも段々と嬉しくなってきて衝動的に土門くんの手を握る。あちらが驚いた顔をしているのもあんまり気にならなかった。

「兎に角…これからよろしく!一緒にフットボールフロンティア目指して頑張ろうね!」
「え、ああ…。でも野生中相手に大丈夫なのか?」

***

土門くんの不穏な言葉と共に出てきたのは野生中の強さだった。何でも瞬発力、機動力共に大会屈指だとか。しかも高さ勝負に滅法強い…らしい。
豪炎寺くんの話でも、高さだけなら帝国を凌ぐという話しだし…。ファイアトルネード、ドラゴントルネード共に通用しないかもしれないことがその話だけで感じ取れた。

…そしてわたしが結果的に思いついたのは新必殺技を考案する、ということなんだけど…上手くいかない。

「いくよ、染岡くん!」
「おお…って何処投げてんだー!」
「ご、ごめーん!次は上手く投げるから!」

…で、取りあえず空中に強くなろうと色々と頑張りはするけど…この特訓の方法で役に立つのか、ちょっと不安になってきた…。
まあ何もやってないよりはマシ、なんだけど。ぼんやりと考えつつ一郎太に上からボールを投げようとした瞬間。

「おお、精が出るなぁ!」
「古株さん!」

用務員の古株さんが楽しそうにわたしたちの練習を見て笑っていた。そして、わたし達と尾刈斗中との試合が“伝説のイナズマイレブン”を思い出させてくれた、と言って更に豪快に笑い出した。
…伝説の、イナズマイレブンって何だろう?



 


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