「…と言う事で!」

放課後のサッカー部室。皆が皆、わくわくしたような顔で部室の中を言ったり来たりしている。…まあしょうがないか、何て言ったって!

「フットボールフロンティア、開催されたよー!」
「おおー!」

今までのサッカー部じゃ憧れでしかなかったフットボールフロンティアに出場できるんだから、部員が興奮していてもおかしくない。
…わたしも楽しみで仕方なかったし、ね!

「で、相手はどこなんだ?」
「相手は…。」

いつもよりも楽しそうな一郎太の声に部員たちもこちらに目を向けてくる。…えっと…相手って…。

「相手は…。…知らない…えへ。」
「…お前なぁ…。」

一気にどよーんとした空気が周囲に立ち込める。…しょうがないじゃない、知らないんだもん。夏未ちゃんは何も言わなかったし…。
一部の呆れたような目線を受けて苦笑していると、後ろからガラリと扉が開く音がした。振り返ってみれば…珍しいことに冬海先生がいた。…本当に珍しい、顧問であってもサッカー部に興味が微塵も無いような先生だから、あまり此処には来ないのに。

「相手は野生中ですよ。」
「野生…。春奈ちゃん、何処かわかる?」
「はい!え〜っと…昨年のフットボールフロンティアの決勝戦で帝国と戦っていますね。」

あの帝国と…初戦から厳しい戦いになりそうだ。…でも楽しみ!

「凄いね、いきなりそんなチームと戦えるなんて!」
「…初戦大敗なんていう無様なプレーはしないで欲しいですね。」

…冬海先生のテンションの下がる嫌みったらしいお話も相変わらずらしい。モチベーションを下げにきたのかなこの人。顧問なのに、全然顧問っぽくない人だなぁ、本当。
でも眉を顰めかけたその次の瞬間、後ろに見えた人影に興味を持っていかれた。

「…その人は?」
「ああ、彼ですか。彼は…。」
「ちーっす!俺、土門飛鳥。一応DF希望ね。」

背がすごく高くて、ライトグリーンの髪をした男の子がピースだけそうじゃないんだかよく分からないポーズを決めて部室に現れた。




 


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -