…と言う事で有無も言わさず強制連行された。秋ちゃんも笑って手を振ってるだけだったし…いやいや、そこは助けようよ秋ちゃん。

「…さて、と…これくらいね、感謝するわ円堂さん。やっぱり貴女、生徒会に来ない?」
「…謹んで遠慮させていただきます。」

大量の資料やら報告書みたいなものやらを見つめ続けて早30分。
…勉強は嫌いじゃないし、理解できれば楽しいが…この書類攻めは苛めに近い。どちらかというとアウトドアなわたしにとってはもはや地獄だった。
なのに雷門さんはケロッとしている。…ああこれ、日常茶飯事なんだ。
思わず溜め息を吐くと、雷門さんはくすくすと楽しげに笑う。

「毎日サッカーをやるよりは楽じゃなくて?」
「ううん、サッカーしてる方が楽だよ。わたしこういうの、苦手だし。」
「あらそう?結構手際が良かったから、全然そんな風には見えなかったけど。」

それは残念、と雷門さんは呟くと、おもむろに椅子から立ち上がる。
何気無くその様子を見ていると、雷門さんは金庫を開けて、中のノートを取り出した。

そして、こちらに差し出してきた。

「手伝ってくれたお礼よ。」
「これ…!お爺ちゃんの特訓ノート…!」
「以前お父様が言っていたことがあったの。…私が持っていてもどうしようも無いし…貴女にあげるわ。」
「ありがとう、雷門さん!」

彼女の好意をありがたく思ってノートを受け取り、それを開く。…うん、確かにお爺ちゃんの字だ。

「…でもこのノート、貴女に読めるの?」
「慣れれば誰でも読めるよ。」
「…本当に変わってるわ、貴女。」

何処と無く呆れの混じった溜め息を吐くと雷門さんは小さく「夏未。」と呟いた。
話の意図が掴めず、思わず首を傾げると、彼女は真っ赤になってしまった。

「その…苗字じゃなくて、名前で読んでちょうだい。」
「…夏未ちゃんって?」
「ちゃん…。まあ良いわ。その代わり、わたしも貴女の事名前で呼ぶから。」
「うん、別にいいよ。よろしくね、夏未ちゃん。」

途端、真っ赤になった雷門さん…じゃなくて夏未ちゃんは、同性のわたしから見ても凄く可愛らしかった。…羨ましいなぁ。




 


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