あれから染岡くんが決めようとしていたボールは全て不発、及びGKに取られてしまって得点にならず、再びゴーストロックによってわたしも得点を許してしまって、2−3。
逆点されてしまって、そのまま前半戦終了。当然だけど、皆の顔色が良くない。
呪いだ、何だと怯えている気持ちも分かる…。

「…円堂、ちょっといいか。」
「…何、豪炎寺くん。手短にお願い。」

常時よりも低めの声で応対してしまって、一瞬部室の中にぴしり、と亀裂が入る。

「…円堂、怒っているのか?」
「別に。全然怒ってないわ。うん、全然怒ってないのよ。」
(((いやいや、絶対怒ってるだろ…!)))

何か色々空気が悪いし足は動かないし、豪炎寺くんと染岡くんは協力してくれないし皆怖がるしあちらの監督は何か不気味だし!わたしだって…わたしだって…!

「…円堂、もしかして怖いのか?」
「っ!」

豪炎寺くんの核心をついた言葉に、思わず肩が震える。そして一郎太が、決定打。

「…そう言えば、円堂は確か怖い話嫌いだったようn「それ以上言わないで一郎太!」…ごめん。」

一郎太もはっとした様子で直ぐに口を閉ざすが、これは。
…バレてしまった。確実にバレた!一年生が不安がるから黙ってたのに!!

「…何だ、怖かったのか円堂。ならそう言えばいいのに。」
「へーえ、キャプテンにも怖いものってあったんだ。意外と怖いものは女の子っぽいんだね。」
「な、何よ…。何か悪い?そうだよ、怖いよ、怖い話大嫌いだよ!皆が怖がるから一生懸命堪えてたのに!もう、一郎太の馬鹿!二人だけの秘密って言ってたじゃない!」
「わ、悪かった!悪かったよ、円堂!」

結局、この話し合いではわたしが怖いものや怖い話が嫌いだということが暴露されて終わってしまった。…これからの後半戦、大丈夫なんだろうか…。

***

尾刈斗中との試合、後半戦。
話し合いの時間は結局色々な条件が折り重なってまともな話し合いも出来ず、FW二人の意見も交わされないままで終わってしまった。
途中豪炎寺くんが何か言いたげにこちらを見ていたのを気付いていたが…結局何も喋れなかった。

ピピーッ!
後半のキックオフ。こちらからの攻撃。
…が、しかし、豪炎寺くんは突然バックパスで少林くんへとパスを出した。その行動に対し染岡くんからの文句が出る。そして、染岡くんが前に飛び出した。
しかし、前半の二点の得点から、既に尾刈斗中からはマークされてしまっていて、動けない状態になってしまう。
そのまま染岡くんにボールを渡すのは危険だと判断した少林くんが半田くんへパスを繋ぐ。そして、半田くんがそのままマークされている染岡くんへとボールを回してしまった。

…しかし、当然ながら相手側の選手にそれを阻まれ、場外に。…まあ場外なだけマシなんだけど…。

それをきっかけに、一年生たちが半田くんに詰め寄っていく。
何故、ノーマークの豪炎寺くんにボールを渡さないのか。一方では豪炎寺くんに渡せばシュートしない。
一年生も、半田くんも勝ちたいからそう言っていることは重々理解できる。
…でも、このままではチームの統率力の無さが原因で負けてしまう…!

とは言え、なんと声をかけていいのか分からずじまいで、宍戸くんからのスローイングから試合再開。
再び少林くんへボールがまわり、更に豪炎寺くんへとボールがまわる。
それに対して半田くんが抗議して、さらに一年生が反撃する。
…もう雷門イレブンはぐちゃぐちゃだ。




 


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