豪炎寺くんからの宣言を受けた翌日。ホワイトボードの前に立つわたしと豪炎寺くんをぐるっと囲むように並ぶサッカー部の面々を見渡す。

「…これで、豪炎寺くんもわたしたちサッカー部の一員。皆、仲良くやろうね。」
「豪炎寺修也だ。よろしく。」

その声に一年生が歓声を上げる。…これは釘を刺しといたほうがいいかな。練習サボりそう。

「ただし!」

わたしが声を張り上げたことに驚いたのか、再び静まり返る部室。一年生どころか、二年、豪炎寺くんまでびっくりした様な顔をしていた。…まあそれは置いといて。

「だからって練習はサボらないように!FWには豪炎寺くんと染岡くんの2トップでやってもらいます。分かってるとは思うけど、ボールをカットして繋ぐって言うのは出来る限り自分でやるのよ。豪炎寺くんが入ったからって勝てるなんて思い込まないようしてね!」

わたしのその声におー!と一年生が嬉しそうに拳を振り上げる。…やる気は上がったみたい、良かった。
ふっと息を吐くと、隣で豪炎寺くんが笑っていた。うん、いい雰囲気。…と思ったんだけど。

「待てよ!…そいつに一体何の用がある?雷門中のには俺の必殺シュートがあるだろうが!」
「染岡…。」

静まり返り、空気が明らかに悪くなった部室。取り持つように半田くんが説得しようとしているけれど…これはちょっと収めきらないだろう。

「落ち着いて、染岡くん。確かに必殺シュートはもううちの部にはあるけど、でもストライカーが二人になって必殺技も増えるんだよ?チームのバランスを考えて攻守共に優れさせるなら、丁度良いくらいだと思うの。…違ってるかな?」

染岡くんは相当いらだっているのか、わたしの言葉には答えなかった。
代わりに豪炎寺くんにいちゃもんを付け始めた。…まあ、相手は豪炎寺くんだし、大丈夫だよね。

「ストライカーは、俺一人で十分だ。」
「…結構つまらないことにこだわるんだな。」

…あぁもう。何で豪炎寺くんも煽っちゃうかな!染岡くんが余計に怒っちゃうよそれじゃあ。
幸いにして、その場に秋ちゃんと春奈ちゃんが来てくれたことによって収束したけど…これじゃあ先が思いやられるなぁ…。



 


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