何処と無くはしゃいだように楽しそうにわたしの手を触り続ける彼に呆れの視線を送っている鬼道くんにまっすぐ目線を向ける。
…聞きたい事がある。何故、帝国がここに来たのかを知りたいから。

「…あなたたちの目的は…やっぱり豪炎寺くんなの?」

わたしの言葉でぴしり、と二人の動きが止まる。…やっぱり、ね。
鬼道くんが気まずそうにそれは、と口を動かした。

「どこでそれを?」
「…何となく、かな…。帝国は強豪校、普通ならわたしたちみたいな弱小を相手にするはずが無いから…、だから目的は木戸川からきた豪炎寺くんかなあって…。」
「…そうか…。」

何処か落ち込んだように項垂れる源田くんと、俯く鬼道くんにわたしも思わず沈黙してしまった。
丁度よく後ろから壁山が見つかったぞー!!という声が響いた。

「円堂ー!」
「あ、ちょっと待って今行くからー!」

染岡くんの声に返事をしてから、源田くんにもういい?と尋ねると少々焦ったようにすまない、と返事をしてパッと手を放してくれた。

「悪かったな、興味があったからつい…。でも、俺と違って触り心地がよかったな、柔らかかったぞ。また今度触ってもいいか?」
「……。あー、うん。また今度ね。」
「…源田、台詞だけ聞いていると変態に聞こえるから控えろ。」

うん、ごめんね源田くん、わたしもそう思ったよ。

「…中々豪炎寺くんが出てこなくても、あんまりうちの部員に酷いことしないでね。」

その呟きだけ残してわたしは自分のチームメイトの方へ戻っていく。…だから、鬼道くんが苦しそうな顔をしていたのも、無理だ、と呟いていたのも、わたしには一切知りえないことだった。

***

壁山くんも戻ってきたし、何とか試合を開始する体勢にはいることが出来たわたしたち。…因みに、壁山くんはロッカーに入って出られなくなっちゃってたらしい。…うん、今度…は無いだろうけど、入る前に一度自分の体型を考えてからにしようね、壁山くん。

「これより、帝国学園対雷門中学校の試合を始めます!」

ピピィー!
鋭いホイッスルの音と共に、わたしたちの試合が始まった。
先行はわたしたち雷門から。助っ人として入ってくれた(若干不安は残るけど)目金くんが染岡くんにパス。そして染岡くんからマックスくんへ。
FWの二人が敵陣に入り込めばそこへパスを出し、ボールがわたった染岡くんは帝国のFWさん…確か銀髪、褐色肌の眼帯美人さんが佐久間くん、ちょっとこわ…じゃなくて、ちょっといかつい顔したドレッドを後ろに撫で付けてる人が寺門くん…そのふたりのスライディングをかわすと一郎太にパスを繋ぐ。

パスを繋いで、帝国の人にボールを渡さないようにしながら雷門の人たちが上がっていくのをゴール前で見つめる。

…簡単すぎる。こんなに上手くいくものなのかな。

胸の奥底で何処と無く不安が渦巻いた瞬間、染岡くんがシュートを放った。
源田くんは彼のシュートポイントよりも大分遠いほうにいた。…だから、誰も止められない、少なくともわたしを含む雷門の人はそう思ったんだろう。




 


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