「そうか…。」

…何だかちょっと変な顔されたけど、何か言いたげな顔の彼に取り敢えず先を促す。

「それが何か?」
「ああ…先に言っておこうと思ってな。お前なら話が分かりそうだしな。」

呟くように言葉を紡ぐ彼に何事だろうと次の言葉を待つ

「俺にサッカー関連の話をしないでほしい。」

その言葉は、わたしの気になっていることを全て封じ込める言葉。
何故木戸川清修からわざわざここへ来たのか、なんて聞くに聞けない。

「…わか、った。」

けれど、真剣な彼の顔になにも言えないまま、わたしは曖昧な笑顔で頷く他なかった。

***

「「えぇ!?帝国と試合ぃ!?」」
「うん、負けたらサッカー部は廃部だって!」
「ちょ、お前何でそんなに楽しそうなんだよ!言われてる意味分かってんのか!?」
「分かってるよ?勝てばいいんでしょう?」
「「分かってねぇじゃん!」」

あれから豪炎寺くんと何気ない話をしていたら、何故か理事長さんと校長先生に呼ばれて校長室に直行させられた。
何事かと聞けば理事長代行で生徒会長さんの雷門夏未さんから

「帝国と試合してもらいます。負ければ勿論、廃部です。」

との宣告を受けた。だからその旨を皆に伝えて、冒頭に至る。

「久しぶりに試合出来るのに…何でへこんでるの?」

と正直に今の感想を告げると染岡くんと半田くんががっくりしている。

「相手はあの帝国ですよ!?無理、絶対無理!」
「ボコボコにされて恥かくだけでヤンス!」
「結局廃部って事か…」
「この部室ともおさらばっスねえ…」

と、部室内がどーんと暗い雰囲気に包まれる。
その言葉にわたしは思わずムッとした。
…こんなんだから、いつまでたっても弱小なんて言われて、グラウンドで練習出来ないのに。

「情けないな…。皆サッカーやりたくてこの部に入ったんじゃないの?廃部ですって決まった訳じゃないのに、もう諦めるなんてみっともないよ。」
「キャプテン、でも…。」

情けない声を出す壁山くんの言葉を皆まで聞かず、わたしは部室に背を向けた。

「…もう良いよ、皆は何もしないでも。わたし、今から部員集めてくるから。
「紗玖夜ちゃん…。」
「秋ちゃんゴメンね、後よろしく。」

心配そうな顔をしている秋ちゃんの肩を軽く叩いて部室を後にする。
絶対、何があっても諦めないから!!



 


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