「…にしても、本当にびっくりしたよ。監督があともう1人来るって言ってたけど、そのもう1人がまさか鬼道くんだったなんて思わなかったから…」
「フ…それは驚かせて悪かったな。…豪炎寺にも何も聞いていなかったのか?」
「うん、全然聞いてなかった。何か知ってるかなーとは思ってたけど…ね、豪炎寺くん」
「…悪かったよ、話さなくて」

3人が3人とも、苦笑を交えて話し合う。それにしても豪炎寺くんは事前に一言言ってくれたら良かったのに。

「…でもね、わたし、鬼道くんと一緒にプレーできて凄く嬉しかったよ。初めて試合した時から、ずっと同じチームで試合できたらいいなって思ってたから!」
「…そうか」
「うん!足の力もそうだけど、あのゲームメイク力!」
「…だが、サッカーはそれだけでは勝てない」
「え…?」

静かに、何かを悟ったかのような落ち着いた声音に驚いて、思わず彼の言葉を反芻すれば、鬼道くんはすっと立ち上がって豪炎寺くんがするように夕日を見つめながら続ける。
わたし達の試合を見ていたときから、他の、別のサッカーがあるのかもしれないと思い始めたのだと。そして、雷門ならそれが何なのか、見つけられるかもしれないと。

「…お前が率いる雷門…豪炎寺に再びボールを蹴らせたお前の率いるチームにいたら、それが何なのか、わかるかもしれない」
「…そっか…じゃあ、これから鬼道くんの新しいサッカーが見つかるように、わたしも協力させてもらおっかな!…よろしくね!」
「…こちらこそ」

夕日を目の前に握手するわたしと鬼道くん。豪炎寺くんは何も言わなかったけれど、微かな微笑を口元に浮かべてわたし達を見つめていた。
…これから準決勝。新しい仲間も入ったし、もっともっとレベルアップしていきたいなあ。



 


第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -