鬼道くんの指示の元に作られたフォーメーションのお陰で、スムーズにパスが繋がり始めたのを確認できて、思わずほっとする。…よかった、これで何とか攻撃まで繋げられそう。

「凄いよ鬼道くん!流石は天才ゲームメーカーだね!」
「フ…今のがゲームメイクと言えるならな」
「ふえ…?どういう事?」

鬼道くんが言った意味が分からなくて、首を傾げていると彼は軽く笑って言葉を続けた。パスが通らなかったのは今までの実力よりも格段にわたし達がレベルアップしたために生じたズレが原因らしい。個々に上がった力がバラバラで均等ではないため、どうしても今までと同じようにプレーしていたら不祥事が起こってしまうのは自然な事なのだと彼はとても楽しそうな顔でそう言った。自分はあくまでそのズレを修正しただけだと。その為に響木監督にスカウトされたようなモノだと。

「響木監督がそんな事を…」
「ああ。…だが、俺の本領はこれから発揮しなければならないな。俺はあくまでゲームメーカー…こんな事で満足はしていられない」
「そっか…うん、一緒に頑張ろうね、鬼道くん!」
「ああ」
「あ、でもね、鬼道くん…」

再び強気な顔に戻った鬼道くんの肩にぽん、と手を置く。今の話の中で、一個だけちょっと気になったことがあった。今のうちに言っておこう、忘れちゃうだろうから。

「…響木監督に対しては敬語!年上に、しかも監督に対してはちゃんと敬意を払う事!…守ろうね?」
「あ…ああ、すまない、気を付けよう…」

にっこりと笑顔でそう言えば何故だか瞬時に凍り付く周囲。ぴしり、と固まったまま、ぎこちなく頷く鬼道くんに何故だか焦ったような感じの顔つきをしている一郎太と豪炎寺くんがちらりと視界に入ってきた。…あれ、何でだろ?



 


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テーマ「人外ファンタジー」
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