「行くよ、お姉ちゃん!!」
「いいよ、ほらおいで!」

何時もの様にやる気の無い部員達を置いて、河川敷のグラウンドでKFCの子供達と練習する。勿論、まだ小学生の子達の球なんて、はっきり言ったら全然受け応えなんて無い。
でも、何もしないでいるなんてあまり性にあってないし、あの子達の練習にもなるし…こうやって身体を動かしてるのは好きだから、別に気にしたりしない。

「あー!また止められちゃったー!!」
「ふふ、まだまだ、だね!」

ぱしり、と綺麗な音を立てて取ったボールを掲げて見せると、シュートを打ってきた子供が頬を膨らませて唇を尖らせた。その子供っぽい仕草に微笑むともう一度、という意味をこめてボールを返した。
綺麗に弧を描いたボールは別の男のに回り、その子がシュートをしようとした…その時。

「あ…!」
「うわっ!!」

運悪くボールの軌道が大幅にそれて、河原を歩いていたガラの悪そうな人の前をかすめる。

「ごめんなさいっ、大丈夫です…っきゃあっ!」

慌てて駆け寄って、謝罪しようとすると一人の人にドン、と突き飛ばされた。とっさの事で受身も取れずに、わたしは後ろへ倒れこんでしまう。右肘にすれたような痛みが走り、顔を一瞬歪める。

「ああ?何だよオネーチャン。全然大丈夫じゃねえっての。」

少し大柄の男性が、尻餅をついているわたしを見下ろしてボールの上に座る。…何てことを。
さっと顔から血が下がったわたしを小柄な方の男が見て、あれェ、とにやにやと嫌な笑みを浮かべつつ得意げに大柄の男に話し出した。

「安西さん、こいつ全然部員がいない雷門中のサッカー部ですよぉ。」
「はっ、くだらねえなぁ。ガキ相手に球蹴りか?」
「そんな、サッカーです!球蹴りなんて言わないで!」

流石に自分よりも大柄の男、しかも二人組みに言い返すのは少し怖かったけれど、咄嗟にそう叫んでしまう。…どんなことであれ、サッカーを馬鹿にされて、悔しかったのだ。

「そうだ、安西さん。なんならお手本でもみせてやったらどうですかぁ?」
「あぁ?そうだなぁ、手本を見せてやろうかねぇ。」

大柄の男はそう言って下品な笑みを浮かべ、唾をボールに向かって吐いたかと思うと、座っていたボールを勢いよく蹴った。
体勢からして、恐らく初心者であると予測される。…サッカーやってる人に、ボール蹴った後自分が転ぶなんて人、いないから。



 


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